【後編】現体制3周年を迎えたSpecialThanksの歩み。ファンを巻き込む活動で目指すもの。|DIGLE MAGAZINE

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2022/08/19 17:00

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<目次>
▶2021年の1年で99曲
▶夢中にやることが一番楽しい


DIGLE MAGAZINEとオールインワン型ファンプラットフォーム『Bitfan』が送る、“アーティスト活動”にフォーカスしたインタビュー企画。アーティスト選曲のプレイリストと共に、これまでの道のりやファンとの関係について掘り下げます。今回はSpecialThanksが登場。

(本記事は、DIGLE MAGAZINEに掲載された記事の転載です。)






Misaki(Vocal, Guitar)を中心に2005年末から始動したバンド、SpecialThanks。その後、何度かのメンバーチェンジを経て、Toshiki(Guitar)、KOUSUKE(Bass)、YOSHIDA(Drum)の正式加入が発表されてからちょうど3周年を迎えた。すなわち新メンバーでのここまでの活動はほぼ丸々、コロナ禍という未曽有の事態に覆われたということ。そんななかでも、アルバム『SUNCTUARY』や3枚のシングル「Oneness」、「Super Sun」、「Something New」をリリース。できる範囲で積極的にライブ/ツアーを行い、YouTube上には年間100本に迫る勢いでカバー動画をアップするなど、SpecialThanksは活動を止めないどころかさらにギアを上げた発信によってパフォーマンス力や音楽性をアップデートしてきた。ポップパンク、メロディックパンク、エモやインディー/オルタナティブロックなどさまざまなジャンルを融合したサウンドと、新メンバー3人がその可能性に賭けていると断言するMisakiの歌声の起こすシナジーが、キャリア史上最高の輝きを放っていると言っても過言ではないSpecialThanksの今を、“思い入れのある曲”をテーマにメンバーそれぞれが選曲したプレイリストとともに紐解いていく。





2021年の1年で99曲

ー SpecialThanksの新しい試み、YouTubeチャンネル「すぺちゅーぶ」についてもお伺いしたいです。ジャンルも年代もさまざまなバンド/アーティストのカバーを結構なペースでアップされています。


Misaki:

もともとYouTubeを使って何かやりたいという気持ちはあったんです。それなら今だろうって。シンプルに最初の結成から15周年を盛り上げたたかったのと、SpecialThanksを知らない人たちに知ってもらうきっかけを作りたかった。だからいろんなジャンルの人気曲のなかで私たちの好きな曲を演奏してアップしていくことにしました。2021年の1年で99曲。100曲まであと一歩でした(笑)。


ー 私はBiSHの「プロミスザスター」が好きでした。サビで声色の変わる瞬間は何度見てもゾクゾクします。


Toshiki:

Misakiの声と曲が合っていますよね。


YOSHIDA:

いろんな声色を持つMisakiの個性が活きた企画だと思います。当事者の僕が「無料で見せていただいてありがとうございます」って思いますから。もっとバズってもいいのに(笑)。



ー これだけたくさんの曲をカバーしたら、さまざまな気づきがあるんじゃないですか?


KOUSUKE:

実際にカバー企画を始めてから半年くらいしてリリースしたシングル「Oneness」を聴いた先輩から「すぺちゅーぶの効果なのか、アレンジが明らかに良くなってるよね」と言ってもらえたり。今まではリスナーとして聴いていた曲の譜面と向き合ったり、音を分析したりすることで気づくことはめちゃくちゃありましたね。ヒット曲って、やはりどこかにミソがあるんです。それらは何気ないようで、僕ではとてもじゃないけど思いつかない。ほんとうにみなさんすごい。そこで学んだことはこれから先、とても大きいような気がします。


ー なるほど。


KOUSUKE:

ほかには物理的な変化もありましたね。今までは各々で考えてきたフレーズをスタジオで合わせて持ち帰ってまたスタジオで、といった繰り返しだったところから、コロナ禍でなかなか会えないこともあって、データをベースに考えるようになったことも大きいかもしれません。今まで感覚でやっていたところがDTMによって可視化され、細かいところまでロジカルに詰められる。制作がより楽しくなりましたね。


Misaki:

あとはカバーばかりやっているなかでちょっと高評価を得られると、オリジナルやりたい作りたい欲がどんどん高まってくるっていう。





夢中にやることが一番楽しい

ー さきほどおっしゃった「Oneness」もですし、2022年に入ったからの最新シングル「Something New」、あと「Super Sun」は初期のデモを今回初めてアレンジした楽曲だからこそ思ったのですが、SpecialThanksのやってきたことは1周回って今っぽいみたいなところもあるじゃないですか。例えばAvril LavineやParamoreの再評価、彼女らの影響を受けたPale WavesやWillowの存在、そしてOlivia Rodrigoの大躍進についてはどう考えていますか?


Misaki:

そこは素直に「追い風ありがたい!もっとやって!日本ももっと!」って思っています(笑)。日本はそういうブームが少し後れてくるから、うまく乗っていきたいみたいな気持ちはありますよ。でも、そもそも私たちはメンバーそれぞれにちゃんとルーツがあってここまでやってきたし、ブームとは関係なく常に前を見ながらパンクやロックはかっこいいんだって体現し続けてきました。だから関係ないと言えば関係ないですね。


KOUSUKE:

やっぱり届けたいんですよ。そこで大衆にまで届くにはタイミングも重要。そこでもし仮に、今のポップパンクの波に乗れてヒット曲を出せたとしても、次の日からは過去になる。厳しい世界ですよね。そのなかで、ロックバンドとして、積み重ねられてきた歴史の先にある未来を見ながらやっていきたいです。


YOSHIDA:

僕は常に上、もっと上を目指してやっていきたいです。いわゆる下積みと言われることをたくさんやってきて、一矢報いたいという気持ちは強いです。SpecialThanksにはそれだけの曲が揃っていますし、Misakiの声がある。


Toshiki:

僕は楽しくやっていきたい。いろいろ考えた結果、最近はそれに尽きると思っています。自分たちが楽しめないと他の人たちも楽しめない。SpecialThanksは楽曲と声がほんとうに最高。なので、そうすれば自ずともっと広がっていくんじゃないかと思います。


ー Misakiさんの書く曲と声を信じている。


Toshiki:

言ってしまえばそれだけっすね。いかに声をメロディを際立たせるか。


YOSHIDA:

究極そこだよね。


Misaki:

自分の声を信じてみんなが集まってくれていることが奇跡。それが嬉しくて、とにかく夢中になってやってきたこのメンバーとの3年間でした。夢中にやることが一番楽しい。だからそういうモードが続くように、曲を書いて歌っていきたいと思います。




⇒前編はこちら

(文: TAISHI IWAMI  写:遥南 碧)


SpecialThanks Official Web Site – Bitfan

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