【前編】現体制3周年を迎えたSpecialThanksの歩み。ファンを巻き込む活動で目指すもの。|DIGLE MAGAZINE

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2022/08/12 17:00

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<目次>
▶SpecialThanksらしさ、オリジナリティはすごくある
▶覚悟を持ってやってよかった


DIGLE MAGAZINEとオールインワン型ファンプラットフォーム『Bitfan』が送る、“アーティスト活動”にフォーカスしたインタビュー企画。アーティスト選曲のプレイリストと共に、これまでの道のりやファンとの関係について掘り下げます。今回はSpecialThanksが登場。

(本記事は、DIGLE MAGAZINEに掲載された記事の転載です。)






Misaki(Vocal, Guitar)を中心に2005年末から始動したバンド、SpecialThanks。その後、何度かのメンバーチェンジを経て、Toshiki(Guitar)、KOUSUKE(Bass)、YOSHIDA(Drum)の正式加入が発表されてからちょうど3周年を迎えた。すなわち新メンバーでのここまでの活動はほぼ丸々、コロナ禍という未曽有の事態に覆われたということ。そんななかでも、アルバム『SUNCTUARY』や3枚のシングル「Oneness」、「Super Sun」、「Something New」をリリース。できる範囲で積極的にライブ/ツアーを行い、YouTube上には年間100本に迫る勢いでカバー動画をアップするなど、SpecialThanksは活動を止めないどころかさらにギアを上げた発信によってパフォーマンス力や音楽性をアップデートしてきた。ポップパンク、メロディックパンク、エモやインディー/オルタナティブロックなどさまざまなジャンルを融合したサウンドと、新メンバー3人がその可能性に賭けていると断言するMisakiの歌声の起こすシナジーが、キャリア史上最高の輝きを放っていると言っても過言ではないSpecialThanksの今を、“思い入れのある曲”をテーマにメンバーそれぞれが選曲したプレイリストとともに紐解いていく。





SpecialThanksらしさ、オリジナリティはすごくある

ー Misakiさんがこの3曲を選んだ理由を教えていただけますか?


Misaki:

私は子供の頃から歌うことが好きで、女性ボーカルの曲を聴くことが多かったんです。なかでもバンドのなかで歌うことへの憧れが強くて、そのいちばん根っこにあるのはPERSONZです。でもPERSONZのことはいろんなところでよく話しているので、今回はその根っこから、私の音楽観がどのように広がっていったのかを想像したときの、ターニングポイントになった3曲ですね。


JUDY AND MARYは、たくさんある曲のなかからなぜ「Brand New Wave Upper Ground」を選んだのですか?


Misaki:

JUDY AND MARYに出会ったのは小学生の頃。とにかくそのすべてがイケてたというか、ほんとうに衝撃的で。当時よく歌っていた曲のなかから何か選ぼうと思ったんですけど、いっぱいあって選べないのでいちばん最初に出会った曲にしました。


Damoneのこの曲が入っているアルバム『From The Attic』は2003年のリリース。オンタイム世代でも知る人ぞ知る存在ですが、素晴らしいメロディに溢れたハードなパワーポップ作品です。


Misaki:

SpecialThanksは私が中学3年だった2005年末に始まっています。その当時「こんなバンドになりたいな」と理想に掲げていたのがDamoneでした。そして今でもしょっちゅう聴いているんです。ずっとぶれていないリファレンスというか、カッコいいバンドをやりたいと思い続けてきた芯にいるバンドですね。


Hop Alongは10年代に出てきたバンドです。


Misaki:

繊細なところも激しいところも、歌声が大好きなんです。この先こうなっていきたいと思えるボーカル。エモさ孕みつつハッピーで、切なくも明るい音楽性もすごく魅力的だと思います。





ー お次はToshikiさん。チョイスの振れ幅に興味津々です。


Toshiki:

こうして並べてみると統一感ないですね(笑)。僕は幼稚園の頃からピアノを習っていて音楽がすごく好きだったんです。小学生の頃はThe Rolling StonesAerosmithB’zなど、クラシックなロックンロールやブルースロックからハードロック方面に振る感じですね。でも今回はその辺りを選ばず、「バンドをやりたい」と思ったきっかけとそれ以降にしました。


ー The Rolling StonesやAerosmithを聴いてバンドをやりたくならなかったんですね。


Toshiki:

小学生の頃はピアノを習いつつ本気で陸上をやっていて、ロックは好きだったけどバンドをやりたいと思う暇もなかったように思います。そこから中学に上がって陸上に飽きてきた頃に響いたのが、兄貴の影響で聴くようになったELLEGARDENでした。「ジターバグ」は人生で初めてコピーした曲です。System Of A Downは兄貴の友達で僕がもう一人の兄貴くらいに思っている人が、耳が割れそうになるくらいの爆音で聴かせてきた瞬間に撃ち抜かれました。僕が今までに聴いてきた音楽とぜんぜんちがったんですよね。めちゃくちゃラウドで攻撃的ななかに、いろんな音楽の要素が混ざっていた。そこからSlipknotRage Against The MachineLimp Bizkitなどのいわゆるラウドロックを聴くようになりました。




ー KOUSUKEさんは今回、リモートでの参加になってしまいましたが、よろしくお願いします。では選んだ3曲について、話を聞かせていただけますか?


KOUSUKE:

Bon Joviはこの曲が入ったアルバム『Slipprey When Want』を親父が家でずっと流していたんですよね。で、ひらすら熱唱していた。だからこういうプレイリストを作るとなると真っ先に浮かびます。物心つく前から身体に染みついていた音楽ですね。


Toshiki:

この間もホテルでかけてたよね?


KOUSUKE:

かも(笑)。いつ聴いても上がるんですよね。DOPING PANDAは中学生の頃に出会いました。当時僕の周りには“音楽ディグってるやつがかっこいい”みたいな風潮があって、最初はかっこつけで見つけたんですけど、ダンスミュージックとかインディペンデントな音楽がルーツにあるからこその平坦な曲調にはまりました。けっきょく好きになりすぎて、ディグったアピールよりも独占欲が出てきちゃって、誰にも教えることなくずっと一人で聴きまくってたんですけど。


Toshiki:

DOPING PANDAは意外だった。あまり邦楽を聴いている印象がないから。それこそ次のEternity Foreverみたいな、新しい海外の音楽の風をバンドに入れてくれるイメージ。


KOUSUKE:

Eternity Foreverのこの曲は、2017年のちょうどリリースされたタイミングで知って、心の足りないピースにバチッとはまってきました。曲調は落ち着いていて綺麗なんですけどプログレッシブな攻め方をしている。それまではロックばかり聴いていて、極端に言えば“かっこいい=パワー”だと思っていました。そこに聞こえてきた、打楽器や弦楽器の一音一音が編み物のように絡んでいく繊細な美しさと、攻撃的なインパクトが同居するサウンドは、ほんとうに衝撃的で新しい感性の扉が開いたような気がしました。




ー YOSHIDAさんは、他の方に比べると年代的もジャンルも凝縮されていることが印象的です。


YOSHIDA:

“思い入れのある曲”となると、中学、高校、楽器を持ち始めた頃、といったいろんなシチュエーションが浮かぶなかで、僕は“初期衝動”をキーワードにしました。やっぱりあの心が“グワッ”ってなった感じは今でもはっきり覚えていますし、何ものにも代え難いので。なかでもドラマーとしての自分が強く影響を受けたのがlocofrankHi-Standardです。当時も「ドラムのフレーズぜんぶ歌えます!」くらいに聴き込んでいたのに、あれから何年もたって僕自身もドラマーとして経験を積んだからこそわかる凄さがどんどん出てくるんですよ。構造的には2ビートがあって頭打ちがあって8ビートがあって、くらいなんですけど、それだけじゃないんですよね。ほんとうに深いんです。


ー メロディックパンク/メロディックハードコア由来の2ビートはSpecialThanksの強い個性の一つですよね。


Misaki:

ツービートに対するこだわりはYOSHIDAがもっとも強いと思いますね。


YOSHIDA:

僕はメロコア文脈でSpecialThanksのことを知って、メンバーになった今もその部分が好きなんです。でもほかのメンバーはそうじゃない。


Misaki:

メロコアの流れでSpecialThanksを知ってくれた方がたくさんいることはもちろん嬉しいんですけど、音楽的にはもっと広く“ロックバンド”だと思っているので。そういう意味ではそれぞれのSpecialThanksに対する想いがいい感じでミックスされているんだと思います。手前味噌ですけど、Specialthanksらしさ、オリジナリティはすごくある。




覚悟を持ってやってよかった

ー 今のメンバーになって3周年。すなわち新たな出発がコロナ禍の煽りをもろに受けたことについて、振り返ってみてどう感じていますか?


Misaki:

2020年4月に初めてこのメンバーで曲を作ってレコーディングした『SUNCTUARY』というフルアルバムを出して、タイアップも決まったり、ワンマンがソールドアウトしたり、すごくいい流れがきていて、ここ何年かでもっとも盛り上がっている感じ、確かにあったよね?


YOSHIDA:

『SUNCTUARY』を出す直前くらいだよね。


Misaki:

なのに緊急事態宣言が出て、例えばCD屋さんへの挨拶回りといった4人で動くプロモーションがまったくできなくなりました。すごく楽しみにしていたのに。でも状況をできるだけ前向きに捉えたときに、こういう未曽有の事態だからこそみんなに届いて欲しい作品だって思えたので、とにかく動ける範囲で動こうと思いました。私たちは事務所と契約していないインディペンデントなバンドなので、自分たちの考えをダイレクトに行動で示しても迷惑をかける人は少ないし小回りも効く。だったら私たちが先陣切ってツアーをやろうって、その年の夏には東名阪を回りました。いろいろな悩むことはありましたけど、覚悟を持ってやってよかったと思いますね。


ー 世間的には中止すべきだという考え方のほうが強かった時期ですよね。


Toshiki:

やったところで200キャパのところに2、30人しか入れられない。しんどい時期でした。でもMisakiの言うように、やってよかったですね。


Misaki:

賛否両論は承知の上。でも現地のライブハウスの人たちは「本当に来てくれてありがとう」って涙を流しながら音楽やカルチャーに対する想いを話してくれるんです。そこから2021年はSpecialThanksが始まって15周年イヤーだったので再びツアーを組んで、けっきょく全国は回れなかったんですけど、たくさんライブをしていましたし、2022年現在も含めて、私のキャリアのなかでももっともアクティブな時期かもしれないです。


ー アルバムの冒頭曲、「ムーブメント」は令和を称える愛のアンセムだと思います。そんな曲が、コロナ禍という予想だにせぬ状況下に響いてしまったことについてはどうお考えですか?


Misaki:

光も闇もどちらも大切な歌の要素。そのなかでSpecialThanksはハッピーなバンド名の通り、愛だったり感謝だったり、最終的に誰かの光になれる曲を作って演奏して歌いたいという気持ちを一貫して持ち続けています。コロナ禍に入り、世の中に今までに感じたことのない“恐れ”みたいなものが充満していました。そこで「ムーブメント」や「光に変えて」のような曲を聴くことで誰かの恐れが少しでも和らぐなら、と思っていましたね。だから私たちも出鼻をくじかれたような気になったけど、前向きな気持ちを体現しようといろいろと動き出したんです。


ー アルバムのサウンド面についてはどう感じていますか?


YOSHIDA:

3年前にToshikiとKOUSUKEと僕が正式にメンバーとして動くことを発表したワンマンライブの日から、会場限定で過去曲を再録したアルバムの販売したのですが、もう出来上がっている楽曲のレコーディングではなくて全て自分たちで一から製作したアルバムが出来上がったことで4人の関係性はさらに深まりました。そしてよりSpecialThanksのメンバーとしてバンドの内側に入り込めたことで、その結束がサウンドにも表れているように思います。ツアーもいつできるかわからないしアルバムのリリースを遅らせようという話もあったんですけど、作曲者でフロントマンのMisakiには「今出すことに意味がある」という強い意志がありましたし、僕も今のSpecialThanksの鮮度を大切にしたいと思い、リリースしました。


Misaki:

延期するって言っても、次はどのタイミングが適切なのかもわからなかったしね。


KOUSUKE:

『SUNCTUARY』は、SpecialThanksがあの瞬間に出せる最高のアルバムだったと思います。それがコロナ禍と重なってしまい、Misakiの言う“光”の大切さもより強く感じるようになりました。でも、それが届くべき人たちにちゃんと届いたのかというと、まだまだだと思うんです。そういうことも含めて、とても重要なアルバム。じゃあ次はどんな作品を作れば届くのか。そこでいいものができれば『SUNCTUARY』もまた新たな輝きを帯びてくるんじゃないかと思っています。



後編へ続く

(文: TAISHI IWAMI  写:遥南 碧)


SpecialThanks Official Web Site – Bitfan

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