【Pick Up Owner #14 前編】大比良瑞希|「好き」をピンポイントに共感してくれるファンを喜ばせたいし、裏切りたくない

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2022/03/04 15:00

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エレキギターをつま弾きながらメロウな歌声を響かせるシンガーソングライター、大比良瑞希。新世代のシティポップの担い手として各方面からの注目度も高く、七尾旅人やtofubeats、蔦谷好位置らが参加した2nd ALBUM「IN ANY WAY」は話題を呼んだ。


『常に音楽に打ちのめされながらも救われている』と語る彼女の今回のインタビューでは、バンドとソロシンガーという形態への思い、コロナ禍のタイミングで開始したファンクラブや会員限定ライブへのこだわり、今後の展望などを探った。


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■バンドにのめり込んだ青春

ーーー大比良さんには既に『Bitfan Crossing』にもご登場いただいていますが、改めて簡単に自己紹介をお願いします。


はい。東京出身のシンガーソングライター、大比良瑞希です。ライブではエレキギターの弾き語りをメインに活動しています。


ーーーアーティストとして活動を始めたきっかけは。


中学1年生の頃、友達に「バンドを一緒にやろう」って誘ってもらって。ガールズバンドをそこで組んで、そこから音楽に目覚めて。というか、「バンド」に目覚めて。ちょうどその当時通っていた個人塾に、ギターを教えてくれるようなお兄さんたちがたまたまいて、ギターを教えてもらったりとか…初めてライブハウスにも行ったりとか。そのあたりから始まりました。


ーーー小さな頃からエレクトーンを習われていたとお聞きしましたが、アーティストとしての活動の原点というのは「バンド」がいいなと思った、そこが大きなきっかけだったのですね。


エレクトーンを始めたのは小学校3年生くらいの時だったと思うんですけど、普通に音楽教室に習いに行っていました。その時はあんまり…「音楽の楽しさをまだ分かってなかった」じゃないですけど、バンドをやり始めて、全然変わったというか。


エレクトーンは「誰かのために音楽をやる」というよりも、「自分の習い事としてやっている」だけだったんです。でもそのバンドは文化祭に出るためのコピーバンド。みんなを盛り上げるために頑張ろう、喜んでもらおう、一緒にやっているメンバーも楽しもう…仲間がいたこと、そういう経験ができたことが自分にとっては大きくて。ここが今までずっと音楽を続けてきた原点、きっかけです。


それまで自分の居場所みたいに思えるところって、そんなになかったんです。他の人だと部活とかなのかもしれないですけど。バンドを始めたら、やっと自分が没頭できる場所が見つかったというか「のめり込める楽しさ」があったので、授業中もそうですし、毎晩遅くまで起きて、ずっとバンドのことを考えていたりとか。ホームページを自分で作ってみたりとか、音楽以外のことをやるのも楽しくて。


7人組ガールズバンドということで、もう…女子っぽいケンカはすごくしました(笑)楽しさもあり、大変さもあり。とはいえその時は本当に趣味、遊びでやっていましたから、途中で仲違いしたりしたことも含めて青春の思い出って感じです。


ーーー当時から大比良さんはボーカル担当で?


ギターとしてバンドに誘ってくれたので、最初から「ギターなんだ」みたいな。なので、本当は歌も歌いたい、歌ってもいいなとは思っていたけど…結構、当時から歌の癖が強かったのもあって、あんまり歌わないでほしいみたいな感じだったから(笑)ギターだけでやっていました。


ーーーでは、いつからご自身で歌うようになったのでしょうか。


高校1年生の時に作曲を始めて。曲を作って、誰かに聞いてもらうためにデモテープを作ろうとしたら、自分で歌うしかなかったので。そこで歌い始めたら、「自分で歌うのも楽しいんじゃないかな」って思えて。弾き語りも始めました。


ーーーもともとどんな音楽が好きだったんでしょうか?初めて買ったCDは何か、と皆さんにお伺いしているんですが。


初めて買ったCDとなると、小学生。SMAPとか嵐とか、ジャニーズも聞いていたし、コンサートも行ってました。でも、買ったCDはCHEMISTRYのアルバム「The Way We Are」だったような記憶があります、ちょっと曖昧なんですけど。


中学生になるとAvril Lavigneとか、Green Dayとかの洋楽を聞くようになって。だんだんヒーリングミュージックとか、ボサノバ、ジャズも聞くようになりました。iTunesの関連みたいなところから新しい音楽を知っていったりして。




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■ソロは360度自分が全て。自由な反面、厳しさもある

ーーー大比良さんはこれまで、バンドやユニット、今はソロという形でやられていますが、活動の形が変わっていくことで音楽との向き合い方への変化はありましたか?


中学生でバンドを組んだのが音楽を始めたきっかけなので、やっぱりその時の記憶がすごくきれいにパッケージされていて。バンドをやりたいって気持ちはすごくあるんです。とは言っても本格的にお仕事としてはバンドをやったことがないので、本当の難しさを知らない。きれいなままのイメージで、バンドが好きっていうところがあって。


ソロをやり始めてもう5年以上経ちますが、ソロは自分が全て。誰かのせいにはできないし、全部が自分発信というか、いかに自分にプレッシャーをかけられるか。誰に相談したらいいかもわからないですし。そういう「賭け」のようなところがあるので、自分を強く持って生きていかないといけない。


ここは楽しさに変えていきたい部分ではあるんですけどね。自由なんだけど、なんていうか…その反面の厳しさもあるというか。ただただ楽しいかって言われたら、それはちょっとよくわからないな、みたいな。


ーーーその中で今、ソロとして活動を続けられている理由は。


いいメンバーに出会えたらバンドを組みたいんです。だから、まだ出会えていないっていうのが理由なのかもしれないです。


ただ、今からバンドをしっかり組むってなると色んなことを考えちゃうので、なかなか第一歩が踏み出せない。ソロはソロでやりつつ、期間限定でバンドを組んでみたりはしたいなと思っています。


ーーー3月24日のライブはバンドセットでされるんですよね。


今までもライブやレコーディングはサポートメンバーをほぼ固定でやってきていて、そのサポートメンバーは本当に「チーム」っていう感じなんです。けど、シンガーソングライターなので、あえてサポートメンバーを変えてもいいわけじゃないですか。


なので今回、3月のワンマンは初めてのメンバーでやろうと。それも今までのメンバーにも相談しながら決めたことなんですけどね。それはソロであるがゆえの自由であって、いいところ。常に成長できる場ではあるなと思います。


ーーーソロで活動されていると、ご自身で考えないといけないことが多そうですね。


時代的にも、全部自分で考えて自分でやろうとすればやれないことはないじゃないですか。だから、360度どこまで考えてやっていけるか、と思い始めると…今度はどこか抜けてないかなとか、心配になるんですけどね。



■本当に大事な気付きは孤独の中にある

ーーーこれまで、音楽をやめたいと思った瞬間はありますか。


やめたいなと思ったことはあります。例えば去年、2021年の夏頃はあまりにもライブがなくて…FUJI ROCKとか、なんとか開催できたフェスでさえもミュージシャンの存在自体が危ぶまれているニュースが多かったりして、辛く感じることが重なって。


コロナウイルスが流行り始めた頃のほうが、まだそれまでに全く経験したことがない状況だったので「新しく曲を作ろう」とか「もっと制作に集中できるな」とか、うまく変換できたんです。けど、そこから1年以上がたったのに…去年の夏から秋くらいにかけては「このままどうなってしまうのかな、どうしようかな」となって。ミュージシャンに限らず、みんながそうだと思うんですけど。


音楽とは「音楽に打ちのめされては、救われる」みたいな矛盾と一緒に過ごしていると思っていて。正解がないものではありますけど、圧倒的に素晴らしい音楽というのはある。それに出会ったときにはものすごく嬉しいし感動もするけど、自分がそこに届かないんじゃないかっていう不安もあって、やめたくなる時はたまにあります。


でも、どっちもあるというか…「死にたい」って思うことが「生きたい」に繋がる、そういう感じというか。


ーーー言葉にするのが難しいですが、その感覚がまた醍醐味でもあるというか。打ちのめされながらも、この先もっとすごいものに出会えるんじゃないかと思ってしまう気がします。


本当にそう、それがあるんですよね。だから結局、そこの渦に飲み込まれているっていう。


ーーー大比良さんはその渦に飲み込まれて打ちのめされたとき、ご自身の中で悩み抜くタイプですか?それとも外に発散して、表現していくのか。


両方と言えば両方なのですが、本当に大事な気付きというのは結局、自分自身に向き合った時に出てくると思います。なんとなくその瞬間の気持ちを晴らすには、誰かに話したりして「ポジティブに考えよう!」みたいにできるけども、そこで答えが出るかって言ったら、そうではない。答えを出すには、ある程度の孤独が必要というか、自分自身に向き合う試練が必要だなと。


私が最近たどり着いたのは、結局100人いたら100人の良さがあるということで。私だけの良さに気付くということを、当たり前だけど忘れがち。自分の唯一無二な部分が、音楽…ミュージシャンとしてのスタイルに結びつくんです。私だったら最近、エレキギターで弾き語りをするので、そういう部分で自分を強く持っていようとか。他の人と比べなくても確固たる自分でいられる場所を見つけていくのは、いつまでも続けていきたいなと思います。


ーーーそうして悩むこともとても多いと思いますが、その中でアーティストとして活動を続けるモチベーションはどこにあるのでしょうか。


これはコロナウイルスが流行ることで気付いたことでもあるんですけど、やっぱりライブと、レコーディングと、皆さんのリアクション、その3つがモチベーションだなって改めて実感して。音楽活動ができること、それ自体がモチベーションなんです。


去年の夏はそれが全部止まってしまって、生きる方法がわからなくなった状態でした。ライブを基準に他のスケジュールや自分の練習ペースも決めていたので、ライブが決まっていないと、朝起きて歯磨きをし終わった後に何をしたらいいかがわからない、みたいな。だから本当に、モチベーションというのは毎日の音楽を発散できる場所、届けられる場所があることだったんだと強く思いました。


⇒ファンクラブ“mimitometo”について語る、インタビュー後編はこちら


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■Profile/大比良瑞希




東京出身のシンガーソングライター、トラックメイカー 。

2015年3月ミニアルバム『LIP NOISE』のリリースでソロ活動をスタート。

スモーキーな歌声と、エレキギターを爪引きながら歌うスタイルは、明るくも物憂げな唯一無二の世界観を包み込み、ソウルフルかつオルタナティブロックに、新時代の歌謡曲を紡ぐ。 


FUJI ROCK FESTIVAL、 SUMMER SONIC、りんご音楽祭、GREENROOM FESTIVALなど、大型フェスへの出演も多数。過去には、tofubeats、LUCKY TAPES、Alfred Beach Sandal×STUTS、Awesome City Club、Gotchの作品やライブにも参加。


2019年4月スタートのテレビ東京・木25ドラ「電影少女-VIDEO GIRL MAI 2019-」で、音楽を監修する蔦谷好位置氏のプロジェクト・KERENMIの目に留まり、主題歌のフィーチャリングボーカルを務める。その他、企業とのコラボレーションやCM楽曲制作なども携わる。

高感度な音楽ファンは元より多くのアーティストに称賛されており、次世代型シンガーソングライターとして注目されている。 


2022年3月30日(水)、現在シーンを賑やかす音楽プロデューサーYaffleをはじめ、様々なアレンジャーを迎えて完成した3rd Album『Little Woman』発売。3月24日(金)には、東京・渋谷WWWにて、久々のバンド編成ワンマンライブを開催予定。



2022年3月30日発売 3rd Album『Little Woman』


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