【Pick Up Owner #13 後編】Chased by Ghost of HYDEPARK|ファンは僕らを映す「鏡」であり存在意義
大阪出身のエモーショナルロックバンド、Chased by Ghost of HYDEPARK(チェイスド バイ ゴースト オブ ハイドパーク)。日本各地を精力的にツアーで回るかたわら、台湾での音楽フェスティバル出演や現地ツアーも行うなど、その活動の幅は世界にまで及んでいる。
今回のインタビューでは、なんと現在既にファンクラブサイト「MANIA」のコンテンツは100本以上!?メンバー全員がいつの間にか動画編集から更新までできるようになっていた…という自称・DIYバンドのファンとの向き合い方について、リーダーのTAISUKEに訊いた。
■自分たちの好きなことだけでは通用しなくなってくる
ーーーチェイスドの皆さんにとって、ファンはどのような存在なのでしょうか。
もう…いてくれないとね。僕ら、何のためにやってるのかわからなくなっちゃいますよね。
ーーー「自分たちの存在意義」みたいな。
あ、それいいな!ありがとうございます(笑)例えば、自分の中で好きな曲調のブームみたいな…遅い曲か早い曲か、があったりするんですけど。ファンの方がライブでしてくださるリアクションを見ていると「自分の好みはこうだけど、もう少しこれぐらいのテンポの曲もいいのかな?」とか、そんな風に考えられるようになった。
ファンの方は僕らを映す「鏡」じゃないですけど…バンドとかその、アーティストと呼ばれる人間にとって、必要不可欠というか。本当に先ほどおっしゃっていた「存在意義」。僕らの存在意義というところになるのかなと思います。
ーーーライブでのファンのみなさんの反応というのは、曲作りにも生かされるものですか?
そうですね、生かされるようになりましたね、やっと。もう本当に好き勝手やってたんですけど、やっと考えるようになりました。音楽をやっていらっしゃる方ってファンファーストな方が多いと思うんですが、僕らはやっとです(笑)
ーーーいつぐらいからそういった考えを持てるようになったのでしょうか。きっかけなどあれば。
2021年に「RELOADED」というアルバムを出したんですけど、その「RELOADED」のことを考えている時やから…多分2019年、2020年ぐらいだと思うんです。
ありがたいことに、出演できるイベントのレベルが高くなってきていて。色々な人に見てもらえるようにもなってきた中で、ですね。それこそ最初は、「俺らのこの感じが好きな人だけでいい!」みたいな風にやっていたんですけど。
「もうちょっと視野を広げたら、もっといろんな人に聞いてもらえるのかも?」という視点が出てきたのがここ2、3年で。
ーーー幅が広がったのですね。やっぱり、イベントによってステージから見える世界は違ってくるものですか。
違ってきますね。自分たちの好きなことだけでは通用しなくなってくるんです。もちろん、それが好きと言ってくださる方もいらっしゃるのですが。ステージで感じるんですよ、「あ、やばい」って。それこそアクリル板が立ててあるような感覚の、見えない壁を。「なんか今日、ノリにくそうやな…」みたいなのとか。
ーーーファンに楽しんでもらいたい、喜んでもらいたい、そういう気持ちを持って客席を見ているからこその気付きですね。ここに気付けるアーティストと気付けないアーティストというのが、一種の分岐点な気がします。
もっと早く気づけよっていう話なんですけどね(笑)
■ライブができない以上、自分たちをコンテンツとして価値にするしかない
ーーーファンクラブを始めたきっかけみたいなものはあるんでしょうか?
最近、いろんなものがサブスク化してるじゃないですか。コロナウイルスが流行り始めるちょっと前くらいだったかな…どんなものなのかと調べていたら、今までだったら買っていた車とか、そういう「モノ」を所持しなくなっていることだと。その時に、「バンドで考えたらどうなるのか。少なくとも、今までの形のままずっといくような気はしない」と感じました。
「バンド自体がサブスクリプション化する」みたいなことがあるのかもしれないと考えて、最初はバンド固有のアプリを作ろうとしたんです。でも、さすがに維持費が凄まじすぎて!これはちょっと…と見送っていたところにコロナがやってきた。ある意味「これは、今だ」と思って始めましたね。
バンドにとって「ライブ」は収入を得る元になるものです。それができなくなった時にバンドの活動をどうやって維持していくか、というのを考えたら、ライブ活動以外での自分たちがコンテンツですよね。Bitfanのテーマである「熱量は価値になる」じゃないですけど、もっと自分たちをコンテンツとしての価値に変えていったほうがいいんじゃないかっていうあたりでスタートしました。
ーーーTAISUKEさんはバンドの状況や世間の潮流をとても俯瞰しているというか、ビジネス的な観点をお持ちですよね。
いやいや、ありがとうございます。SNSとかで、そういう動きは常に拾うようにしてるんです。だって、10年前ってiPhoneはこんなに凄くなかったじゃないですか。「次の10年どうなっていくんやろう、ボーっとしてたらやられるぞ」みたいな危機感はありますね。
ーーーこれからはアーティストにもそういった視点が大事だと思います。ファンクラブのタイトルはなぜ「MANIA」だったのでしょうか。そもそも、「マニア」「メイニア」どちらが正しい読み方なのでしょう?
「マニア」でいいです。「マニア」で大丈夫です(笑)
ーーー「マニアでいいです」ということは、やっぱり実は「メイニア」…?お知らせには「メイニア」とのフリガナがついていましたが。
あれ、うちのマネージャーがプレスリリースを出してくれたんですが…出たのを見たら「メイニア」って書いてて、「ちょっと待ってくれ!」と(笑)
ーーー「マニア」で正しいのに「メイニア」として出てしまった!?
そうです!出ちゃったんです。メンバーは誰1人として「メイニア」とは言ってないですからね。わざわざ丁寧にカッコ付きで「メイニア」って書いてるのに、誰も言ってへん…。
ーーーそれでは改めて「マニア」の由来を伺ってもよいでしょうか(笑)
メンバーみんなで何個か名前の候補を出したんですよ。僕が出したのは「BACKSTAGE」とか。そうしたらボーカルのKZKが「MANIAがいい」って。載せていくコンテンツもより僕たちのことを深く知ってもらおうという内容だったので、そのまま決まりました。
ーーーシンプルで覚えやすくていいですよね。ロゴもかっこよくて。
バンド名の反省かもわかりませんね(笑)「MANIA」ってロゴにした時にグッズとかも作りやすいよね、みたいなのもあったりして。
ーーー2020年に別サービスでファンクラブを立ち上げたあと、Bitfanに移行していただきました。その決め手をお伺いしたいなと。
当時はホームページの中に会員限定サイトを作るという形でやっていたんですけど、これがもうね、全部手動だったんです!まずホームページ上でファンの方が登録をしてくださるとこちらにメールが来る。支払い方法はオンラインストアの方が豊富で便利なので、お支払いはこちらで、というご案内をする。ストアでの支払いが確認できたら会員限定サイトにアクセスできるように設定する。クレジットの引き落としのトラブルがあったら連絡するとかも…
ーーーそんな細かいやり取りを手動で…!?
はい、やっていました。それで始めたはいいんですけど…やっぱり結構な負担で。しかも、コンテンツの更新がパソコンでしかできなくて。
ーーーそれはツアー先や移動中でちょっと更新しようとしても不便ですね。
僕らはツアーに出ていることが多いので、遠征先で更新がしたかったんです。なのにWi-Fiがなかったらもう、何もできなかった。あと何よりも、僕らにとってというよりは、ファンの方の登録作業を簡単にしたかったんですよね。やりとりがたくさんあったので、ワンステップで完結してほしい。他のサービスも色々調べて検討しましたが、そこが魅力でした。
ーーー移行する時にBitfanへの登録方法をTwitterにあげてくださったり、ファン目線に立ったきめ細やかさを節々に感じられます。そのホスピタリティというか、ファンファーストなコンテンツはTAISUKEさんがご自身で作られているのでしょうか。
ですね。どんな人にもわかりやすく伝わるよう、作ってはメンバーに「こんなの作ったんやけど、どう?」と聞いて、OKだったらそのままOK、「ここちょっと難しい」とかの意見があったらそこを足して、と試行錯誤しています。
■自分にとっての「普通」がファンにとっては価値あるコンテンツだった
ーーーどんなコンテンツを出していくかというのはどう決めていますか?
ツアーに行く車の中で、こんなことやりたい、あんなことやりたいと話していることが多いです。この間はみんなでキャプチャーボードとかも揃えてゲーム配信をしたんですけど、それも車内で話が上がりましたし。
今もめっちゃあるんですよ!みんなでゴーカートでレースしようとか、ちょっとコロナが落ち着きそうな感じがあったら外ロケに行こうとか。ミーティングのようなしっかりした空気感で決めているというよりも、ある程度ふわっとした雰囲気の中のほうが思ったことを言いやすいですよね。
移動中にYouTubeを見て、これだったらうちでやっても面白いんじゃないか?とか、そんな感じで決めています。
とりあえずメンバーそれぞれのコンテンツありきで、そのうえでバンドの裏側のドキュメントも出していきたいよね、となり。MANIA限定音源とかも出していたりしますし、もう「こういうことをしたいから、こんなコンテンツ作ろうや」みたいな感じで、どんどん増えています(笑)
ーーー嬉しいですね、そういう風にどんどん進化して使っていただけるのは。
やりたかったことが全部できるので、助かっています!
ーーーBitfanの更新や編集はどなたが担当されているのでしょうか。TAISUKEさん?
いやいや全然。各々でやっています。だから、いつの間にかみんな動画編集できるようになってたりして。
ーーーそれ、すごいですよ。
結構、対バン相手の方とかにも驚かれることが多いんです。「全員できるの!?」って。みんなできるように…なっちゃいました!
ーーーグッズやCDジャケットのデザインもかなり凝っていますよね。
そのあたりのデザインはボーカルのKZKがやっていますね。DIY極めちゃってるバンドなので(笑)
ーーーツアースケジュールなど拝見するとかなりコンスタントに各地を飛び回ってライブされていますよね。その中で更新していくのは負担ではないでしょうか?
まず翌月のカレンダーを出すようにしてるんですよ。来月の何日にこれが出ます、みたいなのを。それをベースに…僕の場合ですが、ファンの方に僕がどういうものに興味がある人間なのか、どういうことが好きなのかっていうのをわかってもらいたいなっていう気持ちで、好きなこと、興味のあることをやっているので…好きなことをやっているから、大丈夫ですね。
ーーーメンバーのみなさんもそれぞれが自分の演奏した動画であったり、おしゃべりしている動画であったり、楽しそうですよね。楽しむのが秘訣と。
僕自身もメンバーの更新を楽しみにしていますからね。あと、これはMANIAを始めてから気付いたんですけど、自分にとって普通にやっていたこと…例えば曲を作る、シンセサイザーで打ち込みをする、それもちゃんとコンテンツになるんです。
自分の日常生活であったりとか、普段やっているバンドの作業にカメラを回しておくだけでもファンの方に「この曲ってこういう風にできていたんだ!」とか喜んでもらえるのは、なるほどと思わされました。
ーーーファンとしてはステージでのかっこいい姿と、普段見えない裏側のギャップがまたたまらないんですよ。
TwitterとかのSNS、あるじゃないですか。そっちでもそうなんですけど、曲とかライブだけだと、僕らがどういう人間かっていうのが伝えにくいなと思っていて。それを補完するのがまずSNS。さらに知ってもらうのがMANIA、という位置づけでやっていますね。
■初心者から“MANIA”まで
ーーーかなり充実したコンテンツ構成のMANIAですが、特にここを見てほしい!という推しコンテンツはありますか?
チェイスドってどんな感じなんだろう?って入ってきてくれた方にはまず「Behind the CGH」(※)というドキュメントをずっと上げていってるページをオススメしたいです。ここでチェイスドというバンドをよりわかっていただけるかなと思います。
そこからメンバーに興味を持っていただいたら、個人のコンテンツに進んでみてもらえれば!
(※:MANIA会員限定記事 「Behind the CGH」 ep1/ep2 )
ーーーチェイスド初心者からマニアになれちゃう構成、さすがです。Bitfanを使ってよかったと感じることがあれば伺いたいです。
よかったこと、それはもうスマホで更新ができることが最高です。予約投稿もできるじゃないですか、最高です。準備さえしておけばツアーに出てても更新がされる、こんなありがたいことはないですよ。
あとは見やすさ、使いやすさ。以前のMANIAって、良くも悪くも超DIYだったのでデザインが結構ごちゃごちゃしていたんです。それが今とても見やすくなりましたし、以前登録しようとしてもどうもできなかった方からも、Bitfanに移行してからは「使いやすくなっていました」「わかりやすくなっていました」というお声をいただきました。
ーーー今後、Bitfanに限らずファンとの関係性を広げたり深めたりするためにやっていきたいことはありますか?
僕ら、一度だけライブハウスで配信ワンマンライブをやったことがあるんです。その時に、ただただ普通の配信ライブをやったんじゃもうみんな飽きてるだろうってことで、CMを挟みながらやったんです。MANIAのことを紹介するCMだったりとか、個人個人でやっているコンテンツのCMだったりとか。
それのバージョンアップしたものを、一時間くらいの音楽番組を作る感じでやってみたいですね。例えば僕らだけでライブをやってもいいですし、誰かゲストを呼んで、最近どう?みたいな感じでもいいなと。
従来通り僕らのことを知ってもらいつつも、ゲストのことも知ってもらえたらいいですよね。自分たちだけで収まらないような番組ができたら面白いんじゃないかなと思っています。
ーーーそれがリアルな対バンライブなどのイベントに繋がっていっても面白そうです。
そうそう、そうなんです。Bitfanの配信にはコメントとかもあるじゃないですか。ハートとか。そこでリアルタイムにコメントのやり取りなんかもして。やりたいですよね。
■来たれ、隠れチェイスド好き
ーーー皆さんのこれからの目標をお伺いしたいです。
夏フェスに出たいです。今もちょっとずつではあるんですがステップアップできてきているんで、それが夏フェスに繋がったらいいなと。
僕、高校生の頃から夏フェスは「出るもの」と勝手に思っていて、行ったことないんですよね。
ーーーえ!?
「夏フェスに行く時は出る時や!」と決めてて(笑)だから早く出ないといけないんですよ。
ーーー本当の意味での初の夏フェス参戦なんですね、その時が。
2021年の秋、COMING KOBE(※)に出させてもらったんですけど、その時「これが初フェスや!」と思ってたらホームページで「コロナのせいで脱フェス宣言」みたいなのを運営さんがされてて!「僕の初フェス、まだやん…」みたいな(笑)
(※:神戸の無料チャリティーフェス「COMING KOBE」)
ーーーこの流れはもう、しっかり伏線回収してもらってフェス出演後にぜひそのエピソードを披露してほしいですね(笑)最後にはなりますが、ファンの皆さんに一言メッセージをいただけたらと思います。
とにかくライブに来てみてください!多分まだまだいると思うんです、隠れチェイスド好きが。インターネットでは知ってるけど、みたいな。なかなか外に出にくい状況でもあるのですが、もしタイミングが合ったらぜひ一度遊びに来ていただいて。
そうして「こいつら、どんなやつなんやろう?」と思ったらMANIAを見ていただけたら。もう多分コンテンツは100本以上用意しているので(笑)楽しんでいただけるかなと思います!
⇒インタビュー前編はコチラ
■Chased by Ghost of HYDEPARK/Profile
大阪出身のエモーショナルロックバンド。通称は“チェイスド”
メンバーはVo.KZK、Gt.TAISUKE、Gt.Issei、Ba.HiRo、Gr.YUSUKEの5人組。
2017年のKZK加入を皮切りに活動を本格化させ、日本国内でのライブのみならず台湾の大型音楽イベントにも連続して出演するなど、国内外のロックファンの注目を集め続けている。
美しく壮大な旋律を重く激しいラウドロックサウンドにのせて放つその破壊力は、現代のライブシーンにおいてもひときわ異彩を放つ存在である。
3月からは2022年初となる全国ツアー[ GET RELIEF TOUR ]が決定している。
===Other Information===
Official Site:https://chased.ryzm.jp/
Twitter:@Chased_official
Instagram:@c.g.h.official
facebook:Chased by Ghost of HYDEPARK
YouTube:Chased by Ghost of HYDEPARK
Online Shop:https://cghofficialweb.stores.jp/
===