【Pick Up Owner #4】伊沢ビンコウ|変わりゆく世界で、“音楽とともに旅する人生”を続けるワケとは

Be independent!

2021/10/29 18:00

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実力派な歌声で、平井堅やSuperflyなどのバックコーラスも務めたピアノシンガーソングライター、伊沢ビンコウ。2006年に「Key of Life」で全国デビューし、2021年にデビュー15周年を迎えた。9月20日のデビュー日には最新アルバム「Synesthesia」をリリース。ライブや配信などファンを身近に感じられる活動を大切にしながら、「音楽」と「旅」をするように時代の変化に合わせて自分のあるべき形を探究し、進化し続けている非常に魅力的なアーティストだ。


今回のインタビューでは、今の“independent”な活動スタイルに至るまでのターニングポイントや、紆余曲折ありながらも音楽活動を続ける理由、そして自身にとってファンがどのように大事な存在なのか、その内に秘めた想いを訊いた。


IZAWA BINKOH OFFICIAL SITE “BINKOH ENHANCED”– Bitfan


ーーー2006年にデビューされてから今年で15周年ですね。これまでの活動を振り返って、まずは現在のソロで活動するスタイルに至るまでのターニングポイントについて伺わせてください。


これまでの活動を振り返ってみると、若い頃はとにかく自分!自分!でしたね。自分が納得いくものを作れればそれでいい、という感じが強かったです。そこから大きな心境の変化があったのは20歳の頃に約2年間、音楽を学びにサンフランシスコやロサンゼルスに単身渡米した時です。


その頃の僕はとにかく洋楽ばかり聴いていて、なんなら当時は同じようなアレンジや曲調ばかりの邦楽に嫌気が差していたのもあって、俺は海外に行って英語で歌うんだ!と思って海外に行きました。ですが実際行ってみて、言い方に語弊があるかもしれませんが、最終的には日本人である自分が英語で歌うことに対しての必要性の無さのようなものを痛感しました。

母国語でない言葉で歌う必要あるかなって。


この広い世界の中で日本語に自然と気持ちを乗せて歌えるのは日本人だけだと思うし、それが最大の個性だということ、そこを突き詰めたいと思って日本で活動したいと気付けたことが大きなターニングポイントかもしれません。



■「何が主軸にあって、ブレないものは何なのか」考え続けたい。


次の大きなターニングポイントは、日本に帰ってきてバンド活動を経てソロになって今の“independent”な活動スタイルになった時です。アメリカからの帰国後に組んだバンドでは、3~4年でメンバーが増えスタッフが増え、周りを囲む人が増えていきました。更にメジャーデビューに向けてたくさんの大人が関わっていったのですが、その時期にこのやり方だと自分はこの先楽しく音楽やっていけないなと感じて、勢いで辞めちゃったんです。


当時のバンドの曲も当初は僕がほとんど書いていたんですが、曲が出てきた時点で自分の中ではすでに、こんな進行でこんなアレンジでこんなサウンド感だ、という感覚があるんですよね。当たり前ですけどバンドだとそれが自分以外の人に肉付けされたり削がれたり、新しいものになっていくのが当時は気に食わなかったんだと思います。自分のイメージ通りの音にならないんだったらやらない!みたいな。

今思えばすごい自分勝手で尖った感じですよね(笑)


そんな過去の経験が根底にあるので、今もソロで編曲なんかも含めて一人でできる範囲のことは全部やっているんだと思います。なので“independent”であることに信念やこだわりというほどの強い想いがあるわけではないですが、結果的に今の活動スタイルになった感じですかね。


あとは年齢もターニングポイントになっていますね(笑)。

20代と30代、そして30代と40代では人生の重みも変わってきていますし、今の自分が何をするべきで何を発信するべきか、そして何を発信しないべきかは常に意識していると思います。


ーーー今の独立型のスタイルに至るまでに、自分にとって「何をやるべきか」「何をやらないべきか」を意識して考えられてきたんですね。


そうですね、例えばレーベルにいた時には周りにたくさん人がいましたが、実際にこの人は一体何をしているんだろうという人達も結構いたし、もっと少数精鋭でいけるならその方がきっといいんじゃないかという漠然とした感覚はありました。


あとは、やはりインターネットとかコンピュータの技術の進歩がどんどんやりたいイメージに追いついて、色々なことが一人でもできるようになってきたというのも大きいですよね。それに伴って音楽業界に限らずメジャーとインディーの垣根もどんどん感じなくなっていったし、そうした動きがSNSと動画メディアの発展でさらに加速していったのが今なんだと思います。


どんな活動スタイルであれ、自分が何を求めているのかとか、何が主軸にあってブレないものは何なのかというのは、これからも考え続けていきたいですね。



ーーーコロナ禍で活動が制限される中で、心情の変化はありましたか。

活動の軸だったライブイベントが不要不急と言われて、当初はそれなりに絶望はしましたが、それと同時に日々複雑化していく世界や自分の内面も含めて、コロナという異常事態を通して一斉にリセットというか、断捨離されたような感覚が大きいです。

例えば、自分はこれを大事にしていたんだなとか、これは大事だと思っていたけどそうでもなかったな、という視点もより明確になりました。
そうやって削ぎ落としていってもなお音楽を続けているということは、やっぱり自分は音楽が好きなんだなと改めて気付かされたし、そういうこともコロナ禍がなければ見えてこなかったのかも知れないとポジティブに思うようにしています。

■今の自分にとっての1番の楽しさや嬉しさは「共有」と「共感」
ーーー活動をみていると、配信であったりライブイベントを大事にされているように思います。伊沢さんにとって、音楽活動の一番の楽しさや嬉しさはどこにあるのでしょうか。

音楽に関わらず「共有」とか「共感」したときの感動というのが、僕にとっての癒しとか喜びの原点だと思います。若い頃は自分が納得いくものを作れればそれでいい、という考えが強くて、正直「共有・共感」みたいなものはそっちのけでした。
そこから紆余曲折あって、今は自分の書いた曲で聴いた人が心動かされたり「共有・共感」をしてくれるのが一番の楽しさ、嬉しさですね。

自分の気持ちを掘り下げていった底にある”泉”のようなものにたどり着けたか、それを表現できたか、そういう深いところでの「共有・共感」が一番目指したいところです。その意味ではただ曲を書くだけでは不十分ですし、目の前で反応が見られるライブだったり視聴者のコメントが見られる配信だったりはこれからも続けていきたい、やめたくないことですかね。

他にも音楽を通じて同じ志を持った仲間と会えるのも楽しいですし、あとはツアーにいった先の美味しいご飯とかそういうのも大好きですけど(笑)、やはり僕にとっての重要なのは、僕側にもリスナー側にも「共有・共感」があることかなと思います。


ーーー今は「共有・共感」が一番の喜びであり楽しさであるとのことですが、もし生まれ変わって今のように音楽をしていなかったとしたら、どのような生き方をしてみたいですか。

もし生まれ変わったとしても、意外と音楽はやってないかもしれないですね。音楽に求めているものは「共有・共感」とお伝えしましたけど、それって別に絶対に音楽じゃないとできないものではないですし、今回はたまたまそのツールが音楽だっただけという感じです。

極端な例ですが、例えばApple社に就職してiPadの開発に携わるとか、企業の中で日々新しい製品やサービスを開発するのも「共有・共感」が必要だし感じられると思います。
「共有・共感」を実感できることであれば、なんでも良かったんじゃないかとは思います。

ーーー例えば、iPadの開発なんかは裏方のものづくりですよね。「伊沢ビンコウ」として表で活動がしたいというわけではないのでしょうか。

表に立つことも裏方も、両立できることだと思っています。
というのも、現に「音楽」と「音楽活動」という似て非なることを両立してやっていますし、特に今はそういうスタイルが全然通用する時代だと思うんですよね。

僕のとっての「音楽」とは、言い換えれば食事とかコーヒーとか洋服のような生活の一部ですが、「音楽活動」は食事を提供するレストランの経営というか、服で言えばユニクロとかH&Mとかだし、コーヒーで言えば僕も大好きなStarbucks(笑)のような感覚です。
「音楽」の上に乗っている「音楽活動」、外に対してブランディングして発信をするしないはとても大事ではあるけれども、それイコール「音楽」ということでは無いんです。

例えばもしファンの数がゼロになったら「共有・共感」も無くなるわけで、僕が「音楽活動」をする意味は無くなってしまいます。
でも「音楽」はいつ始めたかも覚えてないぐらい自然発生的なことなので、どこかを区切りにやめるということはないと思います。食事や服を着ることをやめないのと同じように。

「音楽」はずっと楽しみつつも、もしも「音楽活動」の他により「共感・共有」を得られることが存在したら、それがもし裏方業だったとしてもそれをすればいいとは思っています。そういう意味では、これからも自分にとっての「共感・共有」とは何かを問い続けながら、「音楽」と共に旅するように生きていくんじゃないかなと思っています。

■ファンはいつでも信念を思い起こさせてくれる大事な存在
ーーー「共有・共感」を求める伊沢さんにとって、ファンはどういう存在でしょうか。

僕にとってファンがいるというのは、喜びであり楽しみですね。やっぱり「共有・共感」は、誰かがいて初めて成り立つものなので。

それに、僕はどちらかと言うとあまり良くない意味で職人気質というか、何かを作ろうと思った時に周りが見えなくなりがちなんです。
でも、ふとファンの方の顔を思い出して、今書こうとしているこの曲をあの人が聴き終わった時、どういう気持ちになってくれるだろうか、どんな感覚になって欲しいかと想いを巡らせられる。

共有や共感って、それぞれ個々の価値観とか性格を通り過ぎたその更に根底にあるものだと思うんですよね。その根底まで掘り下げて曲や詞を書けば、きっとたくさんの人に広がるはずだという信念は常にあるんです。
周りが見えなくなりかけた時に、僕にその信念を思い出させてくれる大事な存在がファンだと思っています。


ーーー伊沢さんは、ファンとの交流の場をオフィシャルサイトやTwitterなどいろいろと使い分けられていると思いますが、その中でもBitfanを使っていただいて気づいたことはありましたか。


Bitfanを使って良かったことは、何より時間ができたことですね。これは僕にとってすごく大きかったです。

これまでは自分でサーバーを借りて、HTMLやCSSでウェブサイトを組んでいたので、チマチマ更新したりリニューアルしたりという手間から解放されたのはめちゃくちゃ大きかったですね。


国内外含めて他にもウェブサイトを作るサービスはたくさんあるし、いろいろ試してみましたが、ここまで使いやすくて気の利いたサービスはなかった。Bitfanはダントツだと思います。

どんどんアップデートされてきていますし、サポートに問い合わせした時の反応も真摯にやられているという感覚があったので、ものすごく頼りにしています。見た目がスタイリッシュなのも気に入っていますね。


ーーーたくさん使っていただき、ありがとうございます。Bitfanでもブログ的な文字での交流だったり音声やライブ配信などのコミュニケーションだったり様々なファンとの繋がり方がありますが、今後ファンとの関わりの中でやってみたいことはありますか。


例えばファンクラブに登録してくれた方に向けた、ラジオやライブ配信のようなここでしか見られないものをもっともっと増やしていきたいと思っています。あとアフターコロナには、ファンクラブの方だけが来られるような有観客のライブもやりたいですね。



■旅人のように、音楽とともに旅する人生。変わり続けることだけが変わらない。

ーーーお話を伺ってきて、伊沢さんはパフォーマーやミュージシャンというよりも、探求者や哲学者のような感覚を持っていらっしゃるなと感じました。


そんな大そうなことはないですが、でも今回のインタビューのお話をいただき、できる限り嘘のない言葉で答えようと、自分は何者なのかを箇条書きしてみたんです。

それを読み返してみると、その中に「旅」という言葉が3回も出てきて、きっと自分は「旅」をする感覚で生きて行きたいんだろうなという発見がありました。


ーーー旅って、視界が開けるような、新しい何かに出会えるものですよね。それに、正解を決めつけず、探し続けるスタンスのようにも感じました。


そうですね、今はなかなか旅もできないですけれど、「音楽と一緒に旅するように」というノマド・ソウルでやっていきたいんだろうなと思ってます。

つまり安定や定住を求めないということになりますが、実は昔からそれが自分の弱さでもありコンプレックスでもあったんですけど、今はもうそれも引っくるめての個性なんだということにしました(笑)

カッコよく言えば「旅人」ということで!


ーーーこの先の未来をどのようにシミュレーションして、どのように歩んでいきたいですか。


今の自分が、昔描いていた自分になっているかと言ったら全くそんなこと無いので、未来の姿をシミュレーションすること自体にあまり意味がないような気はしています。

ただ、この先も価値観とか時代とか世の中の変化を含めて、”変わり続けること”だけは変わらないことだと思っています。


なので未来に対して思うのは、これまで20〜30年間やってきた音楽と一緒に旅をするスタンスを、この先も続けて行きたいということ、そしてそんな僕が作るもの全てに「共感・共有」してくれる人が一人でも増えていったら幸せだな、ということですかね。


すごく極端な話、もし日本で生きていけなくなったら貯金全部持ってGDPの低い国に移住すればいいや(笑)くらいの感覚もあるので、そういう意味でもやっぱり「旅人」なんですかね。

今まで自分が見てきたものだけが全てではないし、これからも色々見ていきたいし、色んな人に会いたいし色んな話も聞きたい、そういう気持ちや感覚をずっと持ち続けていきたいし、自分の作るものを通して一人でも多くの人と共有していきたいです。



IZAWA BINKOH OFFICIAL SITE “BINKOH ENHANCED”– Bitfan


■伊沢ビンコウ/PROFILE

ピアノシンガーソングライター/サウンドエンジニア/アレンジャー/ディレクター

7/7生まれ 千葉県出身 A型


2006年「Key of Life」で全国デビュー。

平井堅やSuperflyなどのバックコーラスも務めた、実力派ピアノシンガーソングライター。


東京を中心に各地へのツアー、イベントやフェスの主催など精力的に活動中。 透明感と力強さを兼ねた唯一無二の歌声と、まるで短編映画を観ているかのような自然と情景の浮かぶ楽曲、ライブではその親しみやすいMCと安定感のあるパフォーマンスで「イザワールド」へグイグイと引き込んでくれる。


幼少期よりピアノを習い、学生時代はバンド活動に明け暮れる。

高校卒業後都内の音楽学校・英会話スクールへ入校、20歳で単身渡米し約2年の間サンフランシスコやロサンゼルスの音楽学校に通い多くを学ぶ。

ここでの経験が今に続く音楽人としての土壌を作った。


帰国後再びバンド活動やソロ名義でのライブ実績を重ね、2006年にミニアルバム「Key of Life」で全国デビュー。

関西や東北など全国規模でのツアーを本格化する傍ら、平井堅やSuperflyなどのコーラスメンバーとしての活躍や、メジャーレーベルでのディレクター業や様々なアーティストとのコラボレーション、プロデュースなど、活動の幅を大きく広げる。

近年は自身のライブ活動や積極的な作品リリースに加え、多数のツアーやイベント・大型フェスを企画・主催。


特技は猫の爪切り、なんちゃって英会話、諦めないこと。

アメリカ移住中も日本の3倍の値段だった納豆を毎日欠かさなかったほど重度の納豆ジャンキー、スタバのソイラテが日課。


体質的にアルコールは飲めないが性格的に飲み会大好き。


Twitter:https://twitter.com/binkoh

Instagram:https://www.instagram.com/izawabinkoh/

YouTube channel:https://www.youtube.com/c/youtubinkoh/

Store:https://binkoh.shop-pro.jp/


IZAWA BINKOH OFFICIAL SITE “BINKOH ENHANCED”:https://binkoh.bitfan.id/


===New Album Release Information===================


タイトル : Synesthesia [シナスタジア]

配信日 : 2021年9月20日(月)

価格:3,000円(税込)

https://youtu.be/tubB1azOjmE



いよいよ満を持してのフルアルバムがリリース!
MVとして先行公開され好評を得ていた「桜色」、東京都主催のアーティスト支援企画「アートにエールへ」にも出展され再生回数2万回を超えている話題作「As One」などに加え、ジャケット内URLからオンラインで聴けるエクストラトラック1曲を含めた、タイトル「シナスタジア=共感覚」が示す通りバラエティに富んだ色鮮やかな計12曲。

収録曲:
1. キャリー
2. 未確認ランデヴー
3. ミスター絆創膏
4. 桜色
5. こんな日
6. 船を出せ
7. あと5センチ
8. As One
9. パンプキンスマイル
10. 昇華
11. PERFECT MUSIC

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