自分たちの音楽を届けたい。ガールズバンド・BabySitterの歩みとファンコミュニティ|DIGLE MAGAZINE
<目次>
▶︎ ジャンルに縛られないという強み
▶︎ カワイイだけじゃないバンドを目指して
▶︎ お客さんと熱量を共有できるファンコミュニティ
DIGLE MAGAZINEとオールインワン型ファンメディア『Bitfan』が送る、“アーティスト活動”にフォーカスしたインタビュー企画。アーティスト選曲のプレイリストと共に、これまでの道のりやファンとの関係について掘り下げます。
(本記事は、DIGLE MAGAZINEに掲載された記事の転載です。)
今回は名古屋発4人組ガールズバンド・Baby Sitterが登場。
所属事務所からの独立をきっかけに、よりバンドとしての強度が増した名古屋の4人組ガールズバンド、BabySitter。2019年にはクラウドファンディングでのMV作成プロジェクトを実現、2020年にはファンコミュニティを設立し、ファンとの確かな関係を築きながら前に進んでいる。
今回はインタビューに合わせて『ファンへ送るプレイリスト』を作成してもらったが、どんな思いを込めたのか聞いたところ、あっけらかんと“こんな時だからこそ元気になって欲しい”と話してくれた。それは、彼女たちにとってファンとは“一方的なメッセージを送る相手”ではなく、“共に生きている存在”なのだということが伝わる言葉だった。
そんな音楽とファンに真っ直ぐ向き合う彼女たちのこれまでを振り返りながら、今後の活動やバンドが今感じていることについて話を聞いた。
■ ジャンルに縛られないという強み
ーそもそもBabySitterは、どのようにして結成されたのですか。
Mai(Ba/Cho.):
高校生の頃、それぞれがバンドを組みたいと思っていたんですけど、学校内では一緒にやる人が見つからなくて。「バンドに興味ある人いない?」と声をかけあって集まったのが、初期メンバーの4人でした。
Yui(Gt/Vo.):
だから私たち、地元も学校もバラバラなんです(笑)。いきなりスタジオで顔合わせをしたような感じで。もともとはコピーバンドとしてスタートしたんですけど、初ライブを終えて「もう少し頑張りたいよね」という話になり、自分たちの曲も少しずつ増やしていきました。
ーRioさんは途中から加入されたそうですね。
Mai(Ba/Cho.):
初期のギターが辞めてしまったとき、サポートで入ってくれたのがRioだったんです。その後、正式加入することになり、『スーパーヒーロー』のレコ発の日にファンの方にも発表しました。
ーわざわざ地元や学校という枠を超えてバンドを結成されたということは、好きな音楽が似ていたりするんですか。
Yui(Gt/Vo.):
そうでもないんですよね…(笑)。
Mai(Ba/Cho.):
私はSCANDALさんやSHISHAMOさんのようなガールズバンドが好きだけど、Yuiはアイドルが好きだし。Rioは男性のロックバンドが好きだよね。
Rio(Gt/Cho.):
よく聴くのは、andropさんやBUMP OF CHICKENさん。最近だとサイダーガールも聴いてるかな。キラキラしたサウンドの爽やかなバンドが好きなんです。
Miku(Dr.):
私はわりとなんでも聴くほうかも。洋楽やアイドルも聴くし、JUDY AND MARYさんみたいな少し懐かしいポップロックも好きで。
ーそれだけ好きなジャンルが違うなか、バンドの音楽性はどうやって決めていったんですか。
Yui(Gt/Vo.):
「こういう音楽をしよう!」と決めたわけではなく、私が作った曲をメンバーが「いいじゃん」って受け入れてくれた結果、今の感じになりました。最近ではメンバーとこういう曲をやりたいとか、ライブでこんな曲が欲しいなど話し合いながら進めていて、いい感じのチームワークで成り立っています。
Rio(Gt/Cho.):
あまりルールを作らず、自由にやってきたのがよかったよね。ジャンルに縛られてないことは、結果的にBabySitterの強みになっていると思うので。
ー送っていただいたプレイリストも、みなさんの個性が見えるカラフルなものに仕上がりましたよね。
Yui(Gt/Vo.):
ひとりひとりの好きな曲を1つ選び、BabySitterの作品から元気が出る曲を選んだらこうなりました。いまこの時期に聴いてほしい、元気が出る曲や思い入れの強い曲をまとめたプレイリストになっています。
■ カワイイだけじゃないバンドを目指して
ー2019年に事務所から離れたことは、やはり大きな変化でしたか。
Yui(Gt/Vo.):
そうですね。単純に自分たちがやらなきゃいけないことが増えましたし、「今までは、こんなにも助けられてたんだ」と痛感することも多くて。東京への遠征ひとつをとっても、交通の便を考えなきゃいけないし、車で行くならハイエースを自分たちで運転しなくちゃいけない。メールの返信なども最初は全然なれなかったんですよ。お互いにサポートしあって上手く回るようになってきたのは、本当に最近かもしれません。
ースタッフメンバーがいるわけでもなく、本当に4人でバンドを運営しているんですね。
Yui(Gt/Vo.):
4人でここまでやってこれたわけではないんです。私たちだけの力だったらここまで続けられてなかったんじゃないかなって思うくらいに周りの人に助けられながらここまで活動してしました。
特にアレンジャーの江口亮さんがサポートをしてくださっている感じで。「こうしたほうがいい」とアドバイスをくださったり、できてない部分は叱ってくださったり。本当にありがたいですね。
ーそもそもガールズバンドって、運営が難しくないですか。ビジュアルがいいバンドほど、「可愛いだけだろ」で済まされてしまったり…。
Yui(Gt/Vo.):
『キンコンカン』をリリースしたときの特典会で、ファンの方と写真を撮ったんですけど、人の目を意識している自分がいて。一緒に写真を撮るのが嫌なのではなく、「アイドルっぽいと思われているかもな」と気にしていること自体が嫌だったんですよ。
ー葛藤ですね…。
Yui(Gt/Vo.):
どんなきっかけで好きになってくれても嬉しいんですけどね。私たちの芯にあるのは「もっとたくさんの人に、自分たちの音楽を届けたい」という想いなので。一方でビジュアルから興味を持ってくれた人に「やっぱり、このレベルの演奏か」って思われるのは、すごく悔しい。演奏面も、もっともっとブラッシュアップしていきたいです。
ー現状のBabySitterは、どんなファンの方が多いんですか。
Yui(Gt/Vo.):
最近は音楽好きなかたが応援してくださっている感じがしていて。
Rio(Gt/Cho.):
ライブ終わりに「今日も楽しかったよ」という言葉は今までも沢山頂いていたのですが、最近では音作りについてや、ギターのフレーズなど音楽に関わる感想をいただくことが増えてとても嬉しいです。
■ お客さんと熱量を共有できるファンコミュニティ
ー2019年はクラウドファンディングにも挑戦されていましたよね。
Yui(Gt/Vo.):
事務所を離れることが決まった日にお話をいただいたので、正直なところバタバタで(笑)。悩む暇もありませんでした。
Mai(Ba/Cho.):
「今日決断しなかったら間に合わない!」って感じだったもんね(笑)。
ー価格設定もわりと攻めていたな…と。
Yui(Gt/Vo.):
何をしたらファンの方に喜んで頂けるか、応援していただけるかというのはこのクラウドファンディングを通して改めて考えさせられ、高額プランは、とても悩みました。
ークラウドファンディングの成功は、ファンコミュニティの設立へ踏み出すきっかけにもなっていますか。
Yui(Gt/Vo.):
そうですね。お客さんが熱量を持って応援してくださっているということを、改めて実感したというか。私たちもさらに頑張らなきゃと気合が入りましたし、この気持ちをもっと返していきたいなって思ったんです。
Mai(Ba/Cho.):
コロナにより予定されていたライブがなくなってしまったのも大きくて。ファンの方と繋がれる新たな方法を探していたんです。いざ始めるときは「私たちでファンコミュニティを運営できるかな」って不安もあったんですけど、こんなときだからこそ新しいことをしようと。そのほうが私たちも気分があがるし、ファンの方にも喜んでもらえるんじゃないかなって。
Yui(Gt/Vo.):
私たちにとってファンコミュニティは、お客さんに楽しんでもらえるものを提供できる場所。会員限定イベントとかも開けるし、もっと特別感も出していきたいですね。
Mai(Ba/Cho.):
今のところ、やってよかったという思いしかないんですよ。みんなで集まる度に「次は何やる?」っていう話が毎回出るし、動画など新しいことにも挑戦できている。それをお客さんが喜んでくださってるのも伝わってくるので、本当にWin-Winなんだなって。
ーでは最後に、今のBabySitterの野望を教えてください。
Yui(Gt/Vo.):
まずはキャパシティが復活した状態で、ワンマンライブをソールドアウトさせること。来たい人で溢れてしまうくらい、もっとBabySitterを広げていきたいです。Zeppツアーみたいな大きな夢は、その先に続いていくと思うので。目の前の目標をひとつひとつ達成して、応援してくれてるかたに「ベビシすごいじゃん!」って言ってもらえるように頑張ります。
(『DIGLE MAGAZINE』編集部 文:坂井彩花/編:久野麻衣)