改名して再始動。ワンマンを控えるDIVE TO THE 2NDがファンの反応から感じる現在地|DIGLE MAGAZINE
<目次>
▶︎ ケリー・クラークソン、ミューズ、THEATRE BROOK…ルーツにも通ずるプレイリスト
▶︎ 改名に伴いサウンドもアップデート。変化した景色
▶︎ ファンクラブを始めて、ダイセカを待ってくれる人がいるとわかった
▶︎ ライブ現場での反応が活動の力になっている
DIGLE MAGAZINEとオールインワン型ファンプラットフォーム『Bitfan』が送る、“アーティスト活動”にフォーカスしたインタビュー企画。アーティスト選曲のプレイリストと共に、これまでの道のりやファンとの関係について掘り下げます。今回は、DIVE TO THE 2NDが登場。
(本記事は、DIGLE MAGAZINEに掲載された記事の転載です。)
ファンの間では、すでにダイセカの愛称が定着しているDIVE TO THE 2ND。元々は横浜の高校の同級生達が始めたロック・バンドだった。メンバーの顔ぶれはその頃から現在まで変わらず、犬童一憲(Vo)、山口嵐(Gt, Key)、上林研太(Gt)、辰巳優作(Ba)、Yohei(Dr)の5人。4年ほど、別のバンド名で活動したのち、2021年にDIVE TO THE 2NDとして再出発した。
改名の理由は、以下のインタビューでメンバー自ら語っているからここには記さないが、短いとは言えない活動歴を持つバンドにとって、もしかしたら致命傷になるかもしれない改名を選択したときのメンバー達の決意や覚悟は、DIVEという言葉に込められているのだろう。
振り返ってみれば、変化や挑戦を恐れないバンドだった。2021年7月27日に配信リリースした1stミニアルバム『KOTODAMA』は、いきなりiTunesロック部門の第9位にランクイン。R&Bやファンクに加え、ミュージカル、サントラなどにも影響されたバンドサウンドは、さらにスケールアップ。より等身大になったという歌詞は、これまで以上に聴き手の胸に突き刺さるものになった印象だ。活動を始めた当初こそ、コロナ禍によって足踏みを余儀なくされたが、ライブの本数が増えるとともに動員も伸びてきたという。その彼らは2023年7月1日(土)渋谷チェルシーホテルで新たな挑戦と位置づけるワンマンライブ<LIVE TO THE 2ND Vol.3>を開催する予定だ。
今回のインタビューではバンドを代表して、犬童、山口、上林とともに「ライブでアガる楽曲」というテーマで作ってもらったプレイリストを振り返りつつ、バンドのこれまでの歩みやワンマン・ライブの意気込みに加え、今年4月、新たに開設したファンクラブ『DTT2 FANCLUB』についても訊いた。
■ ケリー・クラークソン、ミューズ、THEATRE BROOK…ルーツにも通ずるプレイリスト
ーープレイリストは「ライブでアガる楽曲」というテーマでおひとり2曲ずつ選んでいただきましたが、なぜ、このテーマで選曲しようということに?
犬童一憲(Vo):
取材のお話をいただいたときに、ちょうどライブの本数が増えてきて、実際ライブ前に聴いている曲もあったので、これなら選びやすいということで、このテーマになりました。
ーー挙げていただいた10曲は、ほとんどみなさんが10代の頃に発表されていますが、リアルタイムで聴いていたんですか?
犬童一憲(Vo):
挙げた楽曲は、アニソンと言うか、アニメのタイアップの曲が多いんですよ。特に、山口と上林と僕は10代の頃に見ていたアニメについて、「ああ、それね!」みたいな感じで、よく話しもするんです。どれもすごくアガる曲なんですけど、そういう共通点もあって、このプレイリストがいいねってなりました。
山口嵐(Gt, Key):
懐かしい感じはありますね。
ーーその一方では、現在のダイセカの音楽性に通じるところもありますね。
山口嵐(Gt, Key):
特に縛りも設けず、自由に選んだんですが、ヒップホップとロックのミクスチャーと言えるプレイリストになりました。
ーーなぜその2曲を選んだのか、おひとりずつ教えていただけますか? THEATRE BROOKの「裏切りの夕焼け」とKelly Clarkson(ケリー・クラークソン)の「Stronger (What Doesn’t Kill You)」を選んだ犬童さんからお願いします。
※編集部註:YoheiはChris Brown(クリス・ブラウン)「Fine By Me」とDIVE TO THE 2ND「KOTODAMA」、辰巳優作はPanic! at the Disco(パニック!アット・ザ・ディスコ)「High Hopes」とDIVE TO THE 2ND「花束と君、夜へ還す」をセレクト
犬童一憲(Vo):
「裏切りの夕焼け」は『デュラララ!!』ってテレビアニメのオープニングテーマだったんですよ。そのアニメを見たとき、いきなりサビのがなり声から始まるのが当時の僕には衝撃で。それがずっと残っていて。この間、久々に聴いたら、やっぱりかっこいいと思って選びました。
「Stronger (What Doesn’t Kill You)」は、洋楽を聴き始めてから、割とすぐに知った曲なんですけど、サビがもう、拳を上げたくなるメロディラインなところがすごく好きです。洋楽ってサビらしいサビがない曲が多いという印象が個人的にはあるんですけど、その中でもサビがちゃんとサビらしいメロディラインになっているからアガりやすいと思います。
ーー上林さんはnobodyknows+の「Hero’s Come Back!!」とダイセカの「ナナメの太陽」の2曲ですね。
上林研太(Gt):
はい。「Hero’s Come Back!!」はどこを取っても、逆にアガらない要素がないと思っています。イントロのドラムから最後まで、歌詞も含め、1秒たりとも止まらない感じで、この曲はいつ聴いてもアガります。「ナナメの太陽」は自分たちの曲なんですけど、当時の葛藤が込められている楽曲なので、いまだに聴くとそのときのことを思い出します。自分たちを震い立たせる曲ですね。
ーー最後に、MUSE(ミューズ)の「Panic Station」とアフロマニアの「Very Very」を選んだ山口さん、お願いします。
山口嵐(Gt, Key):
「Panic Station」は、ライブでアガる曲と言われたとき、ぱっと思い浮かびました。ロックな感じのダッダッダッっていう力強いベースから始まるんですけど、そのベースとドラムのどっしりした感じとボーカルの力強さがあいまって、ミューズの中でも特にアガる1曲だと思います。実は、ベースの(辰巳)優作が選んだダイセカの「花束と君、夜へ還す」って曲のインスピレーションになっているんですよ。それぐらい好きなんです。アフロマニアの「Very Very」は2人に合わせて、アニソンから選びました。『牙 -KIBA-』というテレビアニメのエンディングテーマだったんですけど、テレビで見たとき衝撃を受けて、すぐにCDを買いに行ったんです。
ーーこのプレイリスト、ダイセカのファンにはどんなときに聴いてほしいですか?
犬童一憲(Vo):
ライブでアガる曲がテーマなので、ライブ前ですかね?
ーーやっぱりライブの前ですよね。
犬童一憲(Vo):
でも、ライブの前は僕たちの曲を聴いてほしいです(笑)。勝負の前みたいなときに聴いてもらえたらいいのかなと思います。
■ 改名に伴いサウンドもアップデート。変化した景色
ーーここからはダイセカのこれまでの歩みを振り返らせてください。前身バンドの活動に一区切りをつけ、2021年にDIVE TO THE 2NDと改名して、再出発したわけですが、その理由をまず教えてもらってもいいですか?
犬童一憲(Vo):
改名の理由は、前身バンドでは、思い描いたようにはなかなかうまくいかなくて。あるとき、これはもう、音楽性も含めて全部ガラッと変えるしか脱却する方法はないと思ったんです。そんなときに今の事務所との新しい出会いがあり、心機一転、再出発するならバンド名も変えようっていうことになって、2度目の挑戦という思いをそのまま新しいバンド名にしたんです。ちょうど、そのときコロナ禍になり、ある意味良いタイミングだったので楽曲も一新しました。
ーー音楽性も含め、ガラッと変えたかったとおっしゃいましたが、ダイセカでは音楽性を含めどんなことをやりたいと考えたんですか?
犬童一憲(Vo):
改名する前からやりたいことがどんどん増えてきていたんです。例えば、洋楽テイストを楽曲に入れたいというのもありましたし、歌詞もより自分自身に向き合った等身大に近いものにしようというのもありました。それを大きいホールとかスタジアムとかで通用するサウンドでやるっていうのが1個、僕の中ではテーマとしてあるんですけど、そういうことをやりたいと考えていました。
山口嵐(Gt, Key):
そういったこともあり、新たなサウンドのために僕はピアノを弾き始めました。
上林研太(Gt):
僕も以前はエレキギターを歪ませて弾いていたんですけど、改名を機にアコギのテイストでも弾くようになりました。
犬童一憲(Vo):
優作もライブではシンセベースも使うようになって、ステージでの見え方もけっこう変わったんですよ。
山口嵐(Gt, Key):
そんなふうにメンバーそれぞれにアップデートしていったんです。
ーーただ、以前のバンド名で知ってくれていたファンもいたことを考えると、バンド名を変えることに葛藤や躊躇はなかったですか?
犬童一憲(Vo):
それについては、メンバーとも新しい事務所ともかなり話し合いました。でも、僕自身は、そういう心配はありませんでした。わかっている人はわかっていると思っていて。
山口嵐(Gt, Key):
それにコロナ禍が重なって、今までやってきた活動が一回帳消しになってしまった感じもあったので、だったら改名して、ここからまたスタートという気持ちでがんばればいいじゃないかって思ったところもありました。
上林研太(Gt):
僕は正直、バンド名を変えることに不安はありました。ただ、これまでこの5人でやってきて、そのまま同じ5人で続けるってことに関しては何も変わらないので、最終的にはそこについてきてほしいと覚悟を決めて挑戦しようと思いました。
上林研太(Gt)
ーー逆にバンド名を変えたことで、前身バンドでやってきたことに縛られずに、いろいろなことに挑戦できるというところもあるんじゃないですか?
犬童一憲(Vo):
それはけっこうありますね。結果的に前のバンドのときからのファンの方々が改名しても来てくれているので、そこはよかったと思います。前とは違うよって打ち出したことにより、これまでやってこなかったスタイルも躊躇なくできるようになったとは思います。
ーーそんな中、2021年7月にリリースした1stミニアルバム『KOTODAMA』は、iTunesのロック部門でいきなり第9位を記録しました。
犬童一憲(Vo):
正直、ランキングに入ったことに驚きました(笑)。最初の配信でそれだけ注目されたことはうれしかったですし、ありがたいと思いました。もちろん、バンド名を変えたことに不安はありませんでしたが、一からがんばらなきゃいけないと覚悟はしていたので、それがいきなり第9位だなんて、次の活動への大きな力にはなりましたね。
ーー表題曲の「KOTODAMA」をはじめ、ダイセカのMVはすべて犬童さん制作のアニメですね。
犬童一憲(Vo):
イラストを描いて、ちょっと動かしているだけですけどね(笑)。
ーー昔から描いていたんですか?
犬童一憲(Vo):
趣味で描いていただけなので、作品といった形で何か作るってことはありませんでした。
ーーそれをMVで使うことになったのは、どんなきっかけで?
犬童一憲(Vo):
「KOTODAMA」のMVを出すのにすごい時間が掛かったんです。曲はもう、すぐできたんですが、リリースするまでに1年間ぐらい掛かったのかな。MVも何個か案を出して、会議も重ねたんですけど、どうもしっくり来なくて。最初は半分冗談で作ったら「いいね」ってなって、世に出ちゃったという(笑)。
山口嵐(Gt, Key):
でも、それがUVERworldさんの「OXYMORON」のMVを作らせてもらうことにまでなったんだからすごいと思います。
犬童一憲(Vo):
「KOTODAMA」のMVは作るのに1か月くらい掛かったんですけど、DIVE TO THE 2NDと名乗っている以上、自分もそれを体現しないといけないという気持ちもあったんです。MV制作を全て自分ひとりでやりきったボーカルがこの歌詞を歌っていたら、きっと届くだろうなというのがちょっとあったんです。その意味ではやってよかったと思いましたし、そういうことを体現できるバンドにはなりたいという決心ができた行動でもありました。
犬童一憲(Vo)
■ファンクラブを始めて、ダイセカを待ってくれる人がいるとわかった
ーーダイセカはファンと関わる上で、どんなことを大切にしていますか?
犬童一憲(Vo):
関わり方って言うのかわからないんですが、僕たちの音楽を、その人の人生の一部にしてほしいですし、そういう存在になりたいと思っています。
ーーでは、ダイセカの音楽は自分の人生に欠かせないものだと思っているファンに対して、ダイセカはどんなことをしてあげられると?
犬童一憲(Vo):
最近、自主企画イベントをやっているんですが、ダイセカのファンの方々にもいいと思ってもらえるバンドを集めて、満足してもらえる日を作ってあげたいっていうのは、自主企画イベントをやってみてすごく思いました。
バンドにできることは、音楽を届けることか、イベントを開催することなので、そういうことで返せたらいいと思います。それこそ最近はバンド以外のアーティストとも共演する機会を設けているんですが、そこで生まれる雰囲気というのは、僕たちだけでは出せないものもちょっとあるんです。ダイセカのライブを見にいったら、何かしらサプライズがあるみたいな期待をしてもらえるバンドになりたいですね。
ーーダイセカの活動の中心はライブだと思うのですが、その他にTikTokを含めたSNSやファンクラブもやっています。SNSやファンクラブもまずは音楽ありきでやっていきたいと考えているんですか?
犬童一憲(Vo):
そうですね。SNSは不特定多数の人が見ている情報発信のプラットフォームとして捉えていて、何かのきっかけで僕たちが目に留まり知ってくれたらと思っています。そこでダイセカというバンドと音楽性を知って、少しでも興味を持ってくれた人が、ライブ会場に足を運んでくれたらいいなと思っているので、今のところは基本的に音楽メインでやっています。
山口嵐(Gt, Key):
若い世代の情報源としてTikTokってやっぱり大きいじゃないですか。だから、僕たちもそこで発信していかなきゃって思っているんですけど、とは言え、生に勝るコンテンツはないと思うんです。だから、一憲が言うように、ライブに来てもらうことに繋げるためにSNSはやっているという感覚ですね。
犬童一憲(Vo):
ファンクラブは、メンバーそれぞれの素と言うか、普段のメンバーの感じが伝えられたらと思っています。応援してくださっているファンの方たちとは、ファンクラブを介していろいろ共有できたらいいなと思っています。
山口嵐(Gt, Key)
ーーファンクラブを開設したきっかけは何が大きかったですか?
犬童一憲(Vo):
コロナ禍でライブ活動ができないときに、やはり昔から支えてくれたファンの方たちに、何か少しでも喜んでもらえるようなツールを探していたんです。それに、バンド名が変わっても根底は変わってないと伝えられるのはファンクラブだと思いました。実際、始めてみたら、「こんなにダイセカのことを待ってくれている人がいるんだ」って、徐々にファンクラブの意味もわかってきました。
優作とかYoheiとかは、誰でも見ることができるSNSを積極的にやるタイプではないんですが(笑)、僕たちのファンが集まるという意味で安心できる場所であれば、メンバー自身も発揮できる自分らしさってあると思うんですよ。そういう意味でも、ファンクラブはすごくいいと思っています。
ーー2023年4月からBitfanにファンクラブを移したのはどんな理由からだったんですか?
山口嵐(Gt, Key):
前に使っていたサイトが閉鎖することになったからです。
犬童一憲(Vo):
それならBitfanさんがいいよって紹介してもらったんです。
ーーどんなところがよかったですか?
犬童一憲(Vo):
ライブ配信ができることが大きかったですね。ファンの方々と直接コミュニケーションが取れますし、ライブだけでは知ることができない部分を知ってもらえるってところでも大事かなと思いました。
ーーところで、ファンクラブの名前が…。
犬童一憲(Vo):
はい。そのまま『DTT2 FANCLUB』です(笑)。そこを凝っても、結局、“ファンクラブ”って呼んでいる印象があるんですよ。
ーーあぁ、なるほど。
犬童一憲(Vo):
いろんなアーティストさんのファンクラブがありますが、ファンクラブ名で呼ぶというより、誰それのファンクラブで呼んでいると思うので、もうそれでいいじゃないかって思ったんです(笑)。
ーー確かに(笑)。
上林研太(Gt):
ファンクラブに入ってくれてる人のことは一応、DIVERって呼んでます(笑)。
ーーベタな質問ですけど、みなさんにとってファンはどんな存在ですか?
犬童一憲(Vo):
心臓ですね。歌は誰もいないところで歌っても全然おもしろくない。演奏もですけど、個人的には聴き手がいないと何にもならないと思っているので、ファンがいないと生きていけない。そういう意味で心臓だと思います。
上林研太(Gt):
酸素です。思っていることは犬童とほとんど同じなんですけど、僕達も人間なんで落ちちゃうときもあって、そこで繋ぎとめてくれるのがファンの存在です。ファンがいなかったら、ここまで来られなかったと思います。僕たちがライブをやるときは目の前にいてほしいです。
山口嵐(Gt, Key):
僕は2人とはちょっと違って、鏡ですね。類は友を呼ぶじゃないですけど、お客さんも感性とか、情熱とか、考えていることとか、僕たちと似た人が集まっていると思うんですよ。そういう人達と一つになって、素晴らしいものを築き上げながら、大きくなっていきたいです。
ーーファンクラブの活動として、今後やってみたいことは?
犬童一憲(Vo):
ファンクラブイベントは開催したいですね。去年の年末にアコースティック・ワンマンをやったんですよ。それはファンクラブ限定ではなかったんですが、いつも以上にラフと言うか、普段とは全然違う感じでビンゴもやったんです。そういうのこそファンクラブ・イベントでやれたらいいなっていうのは思いました。
ーーファンクラブで音楽以外のことをやってみようとは?
犬童一憲(Vo):
音楽以外のことでファンに歓んでもらえる気がしない(笑)。やりたいことがやっぱり音楽なんですよね。この前、ライブ配信でファンの方から、僕たち5人でカラオケに行って、それを配信したら良いんじゃないかという提案が出たんです。ライブではできない遊べる要素を配信でできたらいいなと思っています。
山口嵐(Gt, Key):
キャンプに行きたいですね(笑)。
犬童一憲(Vo):
配信で何時間もずっと流すの(笑)? でも、何かしら5人でやっているところをもっといろいろ見せたいとは思っています。
ーー5人は仲がいいんですね。
犬童一憲(Vo):
そうですね。もう10年ぐらい一緒にいるので。
ーープライベートでも遊ぶんですか?
犬童一憲(Vo):
最近はないですね。でも、必ず週に2、3回は会ってるんですよ。
ーーそれはバンド関係のことでしょ?
犬童一憲(Vo):
そこまでバンド関係って思ったことはないんですよね。いろいろなアーティストさんがいると思うんですけど、話を訊くと、うちはちょっと違うのかなって感じるところはありますね。いい意味でシビアじゃない瞬間がうちにはあったりとか、仕事っぽくないところがあったりとか、そういうところはなかなか出せない空気感なんじゃないかなって思います。もちろん、そこがダメなときもあるんですけど、意識すればシビアに振ることはできると思うんです。でも、逆に緩いほうはなかなか出せないっていうのは、他の人の話を訊いていると思います。
ーー元々、高校の同級生だからというところが大きいんでしょうね。
犬童一憲(Vo):
そうですね。一応、どんな奴かは知っていますからね(笑)。
■ ライブ現場での反応が活動の力になっている
ーーこれからのことも聞かせてください。今のバンドシーンについてはどんなふうに捉えていますか?
犬童一憲(Vo):
バンドそのものが減っていると感じているんですけど、だからこそいい環境なんじゃないかと考えています。バンドのジャンルにしても、僕たちのようなジャンルはある程度限られているのかな。そんなふうにパッケージ的に見てもチャンスはあると思っていますし、いろいろな面がどんどんチャンスに変わってきている実感はあるので、そのチャンスを掴みたいという気持ちです。
ーー『KOTODAMA』がiTunesのロック部門でランクインしたり、主催イベントがソールドアウトしたり、ダイセカの状況はどんどんよくなってきている印象がありますが。
犬童一憲(Vo):
地力がやっとついてきたかな。このバンドになって、ファンの反応も対バンのバンドからの反応もまるで違うんです。それがここ数か月。ライブの現場での反応がどんどんよくなってきているっていうのが、自分達の活動の力になっているんで、それをいろいろな人に知ってもらいたいなと思っています。
ーーお客さんの反応が変わってきたというのは、ステージから客席を見ながら感じるんですか?
犬童一憲(Vo):
それが一番感じます。あとはSNSですね。ライブが終わった後の感想だったり、路上ライブをやると、SNSを見て来てくれたりとか。対バンしたバンドのファンの方々も来てくれてるみたいです。もちろん、立ち止まってくれる通りがかりの人も増えたと思いますし、いろいろ変わってきたと感じています。
ーー7月1日に渋谷チェルシーホテルで開催するワンマンライブ<LIVE TO THE 2ND Vol.3>では成長を含め、どんなところを見せたいと考えていますか?
犬童一憲(Vo):
前々回(2022年10月8日)と前回(2023年2月19日)は下北沢でやったんですけど、今回のキャパはその倍以上あるんです。2回ともソールドアウトしているので、今回もソールドして、ステップアップしているところを感じてもらえたらなと思っています。
それを成し遂げることが一つの課題で、演奏に関しては配信している音源が限られるので、ライブに行ったらおもしろいってところを見せたいと思っています。僕たち、サブスクにまだ5曲しか上げてないんですけど、その5曲をやらない日もけっこうあるんですよ。
ーーえっ!?
犬童一憲(Vo):
最近ライブでやる人気曲はサブスクにないんです(笑)。それでも動員は増えているんです。そこはすごい自信になっていますね。なので、ライブに行ったら絶対楽しんでもらえるようなことを考えて、長尺で音源じゃ聴けない部分をいっぱい聴いてもらいたいですし、ファースト・インプレッションでぐっと来るものをやりたいと考えています。
ーーそうか。行かないと聴けない曲がたくさんあるんだったら、ライブに行かないと。
犬童一憲(Vo):
ダイセカはライブ動画の撮影OKなので、来てくださったみなさんがTwitterにあげてくれて、最近の曲に関してはそれを見て予習してくるみたいになっているんです。
ーーファンの熱意を感じます。
上林研太(Gt):
そうなんです。もちろん、初めて観に来てくださった方にも楽しんでもらえるような工夫も考えています。
犬童一憲(Vo):
そうですね。初見の方が楽しめるっていうのは大事にしたいです。もちろん、誰が見てもいいと思えるライブにしたいです。
ーー山口さんも意気込みを聞かせてください。
山口嵐(Gt, Key):
演奏に関しては、ライブの本数もけっこうやっているので、自信しかないですね。その日、自分達にできるベスト・パフォーマンスを見せるだけです。
ーー最近の人気曲はサブスクではまだ配信されていないとおっしゃっていましたが、リリースの予定は?
犬童一憲(Vo):
そうですね。音源化していない曲もたくさんありますし、新曲もあるのでリリースしていきたいですね。
ーー最後に、今後立ってみたいステージを含め、ダイセカの目標を聞かせてください。
犬童一憲(Vo):
キャパをどんどん大きくしていって、大きいところでライブをしたいです。僕たち、横浜が地元なので、横浜スタジアムでワンマンをやりたいですね。そこが一番の目標なんですけど、先輩達が立ったステージはどんどん追いかけていきたいです。やりたい会場は増える一方ですね。
ーー音楽的にはいかがですか? まだまだ挑戦したいことがあるんじゃないでしょうか。
犬童一憲(Vo):
僕たち、こういうジャンルが全員好きとか、これ以外はやらないというのは本当にないんです。何でもやりたいから、次はこういうのやってみようとか、そこまで明確にもないんです。ただ、どんどん変わっていきたいっていう気持ちはあります。また、戻ってもみたいし。なので、いつ、どれをやっても楽しく届けられる演奏力と歌唱力は上げていきたいと思っています。
■Profile/DIVE TO THE 2ND(ダイブ・トゥ・ザ・セカンド)
高校の同級生だった犬童一憲(Vo)、山口嵐(Gt, Key)、上林研太(Gt)、辰巳優作(Ba)、Yohei(Dr)からなる、横浜出身の5人組ロック・バンド。
1度は現在と違うバンド名でデビューし4年ほど活動をしていたものの、ゼロになって再度やり直そうと改名。「第2ステージに飛び込め」という決意をバンド名に託し、2021年に「DIVE TO THE 2ND」として再始動した。
2021年7月に配信リリースした1stミニアルバム『KOTODAMA』が、iTunesロック部門の第9位にランクイン。翌年1月には、UVERworldの楽曲「OXYMORON」のMVを犬童が制作し、話題となった。また、2023年7月1日(土)には渋谷チェルシーホテルにてワンマンライブ<LIVE TO THE 2ND Vol.3>の開催を予定している。
DIVE TO THE 2ND Official Site | Bitfan