10周年を終えて新しいタームへ。大和田慧が新たに作るファンとの“居心地のいい場所”|DIGLE MAGAZINE
<目次>
▶︎ 曲を聴く/ライブに行く以外でも活動を応援したいと思ってくれるファンがいると気づいた
▶︎ 新曲「甘い予感」と同じ願いを込めたプレイリスト
▶︎ 聴いて奮い立つ「Fight Song」を歌いたい
DIGLE MAGAZINEとオールインワン型ファンプラットフォーム『Bitfan』が送る、“アーティスト活動”にフォーカスしたインタビュー企画。アーティスト選曲のプレイリストと共に、これまでの道のりやファンとの関係について掘り下げます。今回は大和田慧が登場。
(本記事は、DIGLE MAGAZINEに掲載された記事の転載です。)
2012年にソロ活動をスタートさせ、2022年で10周年を迎えたシンガーソングライターの大和田慧。
そんな彼女が、10年の節目を経て初のリリースとなる新曲「甘い予感」を6月9日に配信。2021年発表のEP『LIFE』に引き続き、プロデュースは宮川純(LAGHEADS)。バンドメンバーには、宮川(ピアノ、オルガン)をはじめ、吉田サトシ(ギター)、越智俊介(ベース/CRCK/LCKS)、伊吹文裕(ドラムス/LAGHEADS)、Haruna(バックボーカル)を迎え、ミックスは荒田洸(WONK)という強力な布陣のもと、花や果実を引き合いに出したスマートなファンクナンバーを完成させた。
今回のインタビューでは、これまでの活動にも触れつつ、新たに開設したファンクラブ『屋上庭園』、さらには「朝日を浴びながら聴きたい」をテーマに選曲してもらったプレイリスト、新曲「甘い予感」について聞きながら、現在の大和田慧のモードを探る。
■ 曲を聴く/ライブに行く以外でも活動を応援したいと思ってくれるファンがいると気づいた
ーー大和田さんは昨年でシンガーソングライターとしての活動が10周年を迎えられたということですけど、ご自身の中でひとつの節目となった感覚は大きいですか?
はい。ソロの前もずっと音楽をやっていましたし、「10周年と謳うのも変かな?」と最初は思ったんですが、私はちょうど東日本大震災が起こったのと同じ時期にバンドをやめて、翌年の2012年に本当の意味で自分自身の音楽を追求していこうと決めたんですね。そこからの10年だったので、やっぱり感慨深かったです。いろんな人の協力があって続けてこられて、(バンドをやめて最初はひとりだったけど)曲を聴いてくれたりライブに来てくれたりする方や周りにいてくれる仲間は、自分の音楽を続けていたから出会えたし、深く繋がることができている。そういう確信も今はすごくあります。
ーーこの10年における印象深い出来事を教えてください。
まずは、2014年にニューヨークのアポロシアターに出演したことですね。その頃は“突きつめるぞモード”で、わりと視野が狭まっていたというか。「誰かに何かを言われても揺るがない自分を作らなきゃ!」みたいなマインドでやりつつ、アマチュアナイト(※定期的に行われるコンペティション。James Brown、JACKSON 5、Stevie Wonder他、多くのスターを輩出)で準決勝まで進めたんですけど、そんな中で私のオーディションへのチャレンジを、たくさんの方が我が事のように一喜一憂しながら応援してくれたんです。その経験がすごく大きかった。自分の音楽をそんなふうに思ってもらえているのが本当に嬉しくて、そこで景色がグッと広がった感じがします。喜びも悔しさも、みんなともっと分かち合っていきたい気持ちになって。
ーー大きなターニングポイントですね。
あと、2018年にはNHK『みんなのうた』を担当させてもらったんです。その「まどろみ」という曲のプロデュースを長年憧れていたJon Brion(ジョン・ブライオン)にお願いできて、ロサンゼルスに行ってレコーディングをして、音楽を作る喜びが再確認できました。このときもクラウドファンディングでファンのみなさんにサポートをいただいて、「私のやりたいことをやっておいで」みたいな感じで完成を楽しみにしてくださったのがとてもありがたかったし、出来上がった作品がテレビで毎日流れて、お子さんがいる同世代の友達からもたくさん連絡をもらったり。忘れられない出来事ですね。
ーーファンの方々とは、これまでどんな感じでコミュニケーションを取ってきましたか?
友達みたいに喋るような関係ではなかったです。純粋に音楽を好きでいてくれて、私が考えていることを面白いと思ってくれる方が多いので、作品を通してのコミュニケーションがメインだったかな。ただ、コロナ禍はひとつの転機でした。活動がままならない中、毎週インスタライブをするようになって、そこからはお客さんとの交流が以前よりも増えています。
ーーインスタライブだと、リアルタイムでやり取りできる楽しさがありそうですね。
窓辺に花を飾って、「今週はこのお花にしました」みたいなやり取りもします(笑)。蝶がモチーフの「バタフライ・エフェクト」っていう曲があるんですけど、それを歌ったときはファンのみなさんが絵文字で蝶を飛ばしてくれたり。しんどい時期にとても支えていただきました。
ーー今回、Bitfanでファンクラブを開設することになった経緯というのは?
きっかけとしては、かなり前から知り合いであるBitfanの行達也さんと久しぶりに再会したことです。行さんは当時レーベルをやられていて、自主制作した最初のミニアルバム『5 pieces +1』(2013年)を気に入ってくれたんですね。一緒にお仕事をしてみたいなとは思いつつも、いろいろとタイミングが合わなくて。1stフルアルバム『Touching Souls』(2016年)のときにはレーベルを探していて私のほうからご相談させていただいたんですけど、「『5 pieces +1』がすごくいい内容だから、先にそっちを改めてしっかり全国流通させませんか?」というお話をされて、結局またうまくいかず…。
ーーそういったすれ違いがあって、現在に至るんですね。
今になって考えると、行さんがおっしゃっていたことはその通りなんですけど、当時の私は最新の作品を早くリリースしたくて仕方なかったんですよね。「あのときの言葉、ありがたかったな」という想いもずっとあったので、今回ようやくファンクラブ開設の形で応えられて嬉しいです。インスタライブやクラウドファンディングの経験を通して、曲を聴く/ライブに行く以外でも自分の音楽活動を応援したいと思ってくださっている方が実はたくさんいてくれているんだなとちょうど感じていたところだったし、仲のいいシンガーソングライターの大比良瑞希ちゃんも使っていて、Bitfanって良さそうだなと。
ファンクラブがあったら、物理的な距離などいろんな事情でライブには来られない人にも楽しんでもらえるかなって、ずっとなんとなくは思っていたんです。それに、今の自分は10周年を終えて新しいタームに入っている。やってみようかなという気持ちになりました。
ーーちなみに、ファンクラブの名称は決まりましたか?
『屋上庭園』という名前にしました。今、私が住んでいるところに屋上があるんですね。自分と大家さんしか使わないような小さい場所なんですけど、そこからインスピレーションを得た感じです。
ーーというと?
コロナ禍で籠りすぎていたときに鬱っぽくなってしまったことがありまして。それを機に、朝起きたらなるべく屋上に行って、日の光を浴びるようにしたんですよ。実際にやってみるとすごくリフレッシュできたので、「なんかちょっと疲れたな」と思ったら足を運ぶ場所になりました。そんな経験をヒントにしたのと、Carole King(キャロル・キング)が書いてJames Taylor(ジェイムス・テイラー)が歌っている「Up On The Roof」という曲(Gerry Goffinとの共作)が昔から好きなんです。「悲しいことがあったら、いつでも屋上においで。君の席もあるから」みたいな歌で。
ーー素敵なネーミングだと思います。
花が好きなので、そのイメージも重ねられるような。「曲を育てる」と「花を咲かせる」が合わせられるような名前になった感じです。
ーーファンクラブでやってみたいことなどは?
自分への宿題も兼ねて、定期的に新曲をアップしたいなと考えていたりします。1番だけとかサビだけとか短くてもいいから作って、それが育っていくのをチームとして見守ってもらうみたいな。他にはなんだろうな…私とグループチャットをしたいファンの方っているんでしょうかね(笑)。ファンクラブ限定のイベントもやろうと思っています。『屋上庭園』という名のとおり、居心地のいい場所にしたいです。
■新曲「甘い予感」と同じ願いを込めたプレイリスト
ーー「朝日を浴びながら」というプレイリストを作っていただきましたが、このテーマを選んだ理由は?
6月9日にリリースする私の新曲「甘い予感」が、まさに「朝日を浴びる」をモチーフに作った曲なんですよ。さっきも話したとおり、コロナ禍で家に籠りすぎていたときに鬱っぽくなって。生まれて初めてのことだったんです。目が覚めても一日中寝ているように過ごしていたり、音楽を作っても作ってもいいと思えなかったり。さすがにおかしいなと感じてカウンセリングに行ったら、「セロトニンっていう脳内物質が足りていない状態かもしれない」と伺いました。
ーーそれで調子が出なくなっているんじゃないかと。
ええ。その言われ方がすごくよかったんですよね。当時はがんばれない自分のことを「音楽をやる資格さえないのかも」くらいに責めてしまっていたけど、「セロトニンが足りなくなると、感動しにくくなったり、クリエイティブになれなくなったりするものなんだ」と知れたし、原因がハッキリとわかった感じがしたので。
そこからセロトニンを増やすために屋上に行ったりオーストラリアに行ったりして積極的に朝日を浴びるようにした結果、太陽の力のおかげで本当にみるみる回復しました。「朝日を浴びるって、自分が何もできそうにないときに一番やりやすいことだな」という気づきもあった中、「せめて部屋のカーテンだけでも開けよう」みたいに思ってもらえる曲になったらいいなと「甘い予感」を作ったので、同じくそんな願いを込めてのプレイリストです。
ーー選曲はスッと決まりましたか?
入れたい曲がありすぎて、けっこう悩みましたね(笑)。1曲目のRachel Platten(レイチェル・プラッテン)の「Fight Song」は、懐かしい曲ですがここ最近の私にすごくフィットする感じです。「夢を諦めなきゃいけないギリギリのところでも、自分の中にまだ燃やせるものが残っている!」みたいな、メッセージが力強いこういう曲って以前はそんなに聴いてなくて、わりと甘めのソウルとかが好きだったんですけど、セロトニン不足から復活したときに「私にもこの気持ちがあるなあ」と。言ってしまえば、私なりの「Fight Song」にしたいと思って作ったのが「甘い予感」なんですよ。
ーー大和田さんの新曲とダイレクトにリンクしているんですね。Bill Withers(ビル・ウィザース)の「Lovely Day」、Natalie Cole(ナタリー・コール)の「This Will Be (An Everlasting Love)」を含め、前半の3曲はアメリカのシンガーソングライターの楽曲が並びました。
「Lovely Day」や「This Will Be」は、私がもともとシンプルに好きな曲で自然に出てきましたね。「一日が始まったー!」「いい日になりそう」みたいな感じ。朝に走るときも「This Will Be」を聴いて、すごく元気をもらってます。
ーーLAGHEADSの「Simple Song feat.HIMI」、奇妙礼太郎さんの「Life Is Beautiful」と、中盤には日本のアーティストの近作も入っていますね。
「甘い予感」でも宮川純(Key)くんと伊吹文裕(Dr)くんが参加してくださっているくらい、LAGHEADSはメンバー全員が仲間なんです。HIMIさんのボーカルを含めて大好きな曲で、昼の美しい時間という感じがする。朝にそんな一日をイメージできたらいいなと思いました。
奇妙さんは最近初めてライブを観る機会があったんです。ものすごく感動したので、日々の美しさに気づけるこの曲を。全体的にアッパーなプレイリストになったし、しっとりした曲も入っていてほしいなと。
ーーThe Isley Brothers(アイズレー・ブラザーズ)の「Work to Do」、Lizzo(リゾ)の「Special (feat. SZA)」は、熱くソウルフルな印象です。
アイズレーの「Work to Do」も前から好きな曲ですね。私はゴスペルをきっかけにソウルミュージックへのめり込んで、大学ではそういうコピーばかりをやるサークルに入ったんですけど、その頃に出会いました。「やることがいっぱいだぜ!」みたいな明るいノリは、出勤時とか仕事へ向かう朝にぴったりだと思います。
このプレイリストには“始まり”の意味合いも込めていて、Lizzoの「Special (feat. SZA)」は一日のスタートに朝日を浴びながら聴きたいですね。リアリティ番組の『クィア・アイ』『ル・ポールのドラァグ・レース』を観るのも好きなんですけど、自尊心を高めること、セルフラブは大切にしたい。「まず自分を愛せないと、誰かを愛せない」っていうのは、本当にすべてのベースにあるんじゃないかな。
ーーKT Tunstall(KTタンストール)の「Suddenly I See」はどうですか?
90年代後半から2000年代前半にかけての音楽が、メロディアスな部分とか、フレーズの作り方とか、意識していなかったところで自分に影響を与えているのをちょいちょい感じるんですよね。当時なんとなくカッコいいなと思って聴いてはいたんですけど、最近ふと歌詞の内容が気になって。「ある日突然、自分はこういう人になりたかったんだとわかった」みたいな歌だったのが、けっこう衝撃だったんです。この凛とした姿勢が今の時代にも合っていてすごくいいなと。
KTはPatti Smith(パティ・スミス)への憧れを歌っているらしいんですけど、なりたい人物像をイメージして自分を高めていく考え方が素敵ですね。私もそういう女性でありたいです。誰かを勇気づけられるような存在にもなりたい。朝に「やってやるぞ!」と奮起する感じの曲です。
ーーそして、ご自身の楽曲も選ばれています。
「I’ll be there」は、さっき話したJon Brionとレコーディングしていた時期に作った曲です。なんと言ったらいいかな…人って本当にやりたいことを、試してみる前から諦めてしまいがちだったりするじゃないですか。実現させたい夢があるのに、それが実現できなさそうに感じると、夢がもともとなかったかのように蓋をしてしまうと思うんですね。具体的に目指した結果、掴めない現実を知るのがつらいから。代わりに「これなら叶えられそう」という夢を考えたりする。でも、このときの私は遥か遠い存在と思っていた憧れの人と仕事ができて、「叶うものなんだ!」という驚きと、心の底からやりたかったことができたときの圧倒的な喜びを知ったんです。自分が行きたい場所をまっさらな気持ちでイメージして作ったこの曲の清々しさは、朝に合うんじゃないかなって。
ーーラストの「朝にかえる」は?
「朝にかえる」は、夜中から夜明けにかけての時間という感じですね。眠れない夜に曲を書くことが多くて、それこそニューヨークのアポロシアターで挑戦していた中で作りました。プレッシャーでどうにかなりそうなときだったんですけど、「どんなに長い夜を過ごしていても、誰もが朝に向かって歩いているのかも」みたいなイメージが湧いて。だとしたら、朝は始まりの場所でもあるし、帰ってくる場所でもあるというか。「みんなの家」のように思えて、ひとりじゃない気持ちになれたんです。新聞配達のバイクの音とかが聞こえてくると、世界が息づいてるのがわかったりして、何度でも生まれ変われる、自分をリセットできる。朝の光でちょっとずつ悩みがほどけていくそんな曲を、最後に入れました。
■聴いて奮い立つ「Fight Song」を歌いたい
ーー新曲「甘い予感」の率直な手ごたえはいかがですか?
自信作ができました。これまでよりも一歩踏み込んだ感じの曲にしたかったんです。歌詞にある《顔をあげて 光浴びて》とか、ハッキリと行動に繋がるような言葉を実はあまり書いたことがなくて。
ーーそうだったんですか。
聴いてくれた方が「そう言われても自分はできないし…」となっちゃうんじゃないかなと思っていたから、強い表現はわりと避けてきたほうなんです。でも、今の私は「できないと感じてもとりあえずやってみたら?」という曲を歌いたかった。いろいろな経験を通して、考えるよりもアクションを先にすれば解決することはいっぱいあるという実感を得ていたので、《振り返らないで 悩んだら踊れ!》のようなラインを積極的に入れましたね。
レコーディングでも、バンドメンバーに「とにかく『Fight Song』にしたい。聴いて奮い立つ曲にしたい」と熱く伝えた結果、自分のイメージを超えたものができて嬉しいです。
ーーTwitterでも「進化してます」とつぶやかれていましたね。
この先のために準備中の新曲も進化してます。あとは、チームを作りたいっていう気持ちが長年あって。2021年にリリースしたEP『LIFE』から引き続き信頼できるメンバーとやれている感じなんですけど、今はそのサウンドをより強固なものにできていてすごく楽しいです。
後半の《Ta ta ta la ta ta ta…》と歌うところは、レコーディングでは私とコーラスのHarunaちゃんだけの声だったんですけど、WONKの荒田洸くんがミックスで大勢で歌っている感じに足してくれて。ひとりで走っていると思っていたら、気がついたらみんなで走っていたみたいに思える、よりアンセムっぽい仕上がりになりました。
ーー新曲で気に入っているポイントを挙げるとすると、どのあたりでしょう?
やっぱり、アクティブな歌詞ですね。私の気合を感じてください(笑)。それでいて、Rachel Plattenのストレートさと比べると、もうちょっと歌詞が映像的なところ。朝、外を走っていて「ああ、世界が眩しい」みたいに思えるようなタッチが自分は好きで。あまりないタイプの「Fight Song」になったのも聴きどころかもしれません。
この曲の一番のテーマは「過去を振り返らず今この瞬間を味わおう」ということです。私はパウロ・コエーリョっていう作家が好きで、「今日を味わう」をテーマにした曲ができたのは、彼の本(『賢人の視点』)に出てくる話にも感化されています。賢者みたいな人が鞄からバナナを取り出して語っていくんですけど、最初は黒くて硬くなったバナナを出して、「これは過去です。食べようと思ってもおいしくないし、大事に持っていても仕方ありません」と捨てる。次にまだ青くて硬いバナナを出して、「これは未来です。現時点では食べることができません」と言う。最後においしそうな食べ頃のバナナを出して、「これが今この瞬間です。ただただ、味わい尽くせばいいんです」と伝えるエピソードがありまして。
ーー《目の前にある今という果実 黒くなる前に手を伸ばせ》といった歌詞は、そういったところからヒントを得たんですね。
そうなんです。今が旬の果物が手元にあるのに、もうだいぶ黒くなったバナナをもったいないからみたいな感じで冷蔵庫に残しておいたりするように、「まだこれに意味があるんじゃないか」とか、「これがあることで自分は自分なんじゃないか」とか。何かと理由をつけて過去を手放せず、目の前のおいしいものに気づけないでいることが、私にはすごくあるんじゃないかなと思って。
なので、「もうそれは捨てて、食べ頃のおいしいものを食べようよ」という想いで作りました。過去との決別もあまり曲にしたことがなかったから新鮮です。
ーー最後に、今後の話も少し聞かせてください。大和田さんはこれまで朗読やダンスを交えたパフォーマンス、楽曲提供なども含め、さまざまな表現をされてきましたが、この先やってみたいことはありますか?
ずっと夢のひとつなんですけど、映画に関わってみたいです。映画が大好きなので、その作品のための曲を書いたり歌ったりできたら。Jon Brionへの憧れも、映画音楽をたくさん手がけているところが大きいんですよ。
もともとはAimee Mann(エイミー・マン)というシンガーソングライターが好きで、彼女の曲から生まれた映画『マグノリア』をきっかけにジョンの存在を知ったんです。この作品のように、音楽と映画が一体になっていて、どちらの方向からも楽しめる感じの世界観。いつか自分も映画とそんな表現ができたらと思いますね。
ーーぜひ、実現させてほしいです。「甘い予感」リリース後の予定などは?
秋にミニアルバムを出したいと思っていますので、そちらもどうか楽しみに待っていていただけたら嬉しいです。
■Profile/大和田慧(おおわだ けい)
シンガーソングライター/作詞・作曲家。東京都出身。
音楽好きな父の影響により、60〜70年代の洋楽を聴いて育つ。早稲田大学第二文学部卒業後、バンド活動などを経て、2012年よりシンガーソングライターとして本格始動。やさしくソウルフルな歌声と深いまなざしを持つ言葉で、感情を解放するような音楽を目指している。
東京を拠点に定期的に渡米し、NYアポロシアター・アマチュアナイトにて準決勝進出経験を持つ。2018年には、自身で作詞作曲・歌唱した「まどろみ」がNHK『みんなのうた』にてオンエア。MONDO GROSSOをはじめ、さまざまなアーティストの作品やライブに参加し、楽曲提供も行うなど、多岐に渡り活動。
2021年6月にはEP『LIFE』をリリース。収録曲「Seasons」が多数のSpotify公式プレイリストに入り注目される。同年には、丸の内Cotton Clubにてリリースライブを行った。2022年、イスラエルを拠点に世界で活躍するコンテンポラリーダンサー柿崎麻莉子とタッグを組み、Cotton Clubにてダンスと音楽を融合させた公演を実現させる。
(文: 田山雄士 写:山﨑 優祐 編:Miku Jimbo)
大和田慧 Official Fan Community 「屋上庭園」 | Bitfan