自分のハッピーを返していきたいーーさとうもかが独立を経て考える“自由”と“楽しさ”|DIGLE MAGAZINE

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2023/03/10 15:30

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<目次>
▶︎ 「melt bitter」がバズったことで、背中を押してもらえた
▶︎ Bialystocks、Louis Cole等「今日は良い1日になる」と思えるプレイリスト
▶︎ ファンクラブは学校っぽさを味わえる場所にしたい

 

DIGLE MAGAZINEとオールインワン型ファンプラットフォーム『Bitfan』が送る、“アーティスト活動”にフォーカスしたインタビュー企画。アーティスト選曲のプレイリストと共に、これまでの道のりやファンとの関係について掘り下げます。今回はさとうもかが登場。

(本記事は、DIGLE MAGAZINEに掲載された記事の転載です。)

 

 


 

 

 

「人生が楽しくなれば音楽はついてくる」ーーシンガーソングライター・さとうもかが、インタビューなど各所で語っている言葉だ。短大卒業後に本格的な音楽活動をスタートさせ、「melt bitter」をはじめとする多くの人気曲を発表している彼女。故郷の岡山県から上京し、2021年5月にメジャーデビューを果たしたが、2022年11月1日にレコード会社から独立し、マネージャーの立石郁氏による事務所での活動開始を宣言。突然の発表に多くのファンが驚いたことは記憶に新しい。

 

マネージャーと二人三脚で歩んでいくという大きな決断を行った彼女だが、取材時には実に晴れやかな表情をしていて、充実した日々を過ごしていることを感じさせた。今回「毎日がハッピーになるプレイリスト」というテーマを選んだのも、そんな気持ちの表れといえるだろう。毎日を楽しく過ごしている彼女が創る新しい楽曲を耳にするときも、もうじき訪れそうだ。

 

このインタビューではプレイリストから彼女の現在のムードを探ると共に、独立に至るまでの心境の変化や、新しくオープンしたファンクラブ「もか学苑」について、さらに2023年の展望について話を伺った。

 

 

 

 

 

「melt bitter」がバズったことで、背中を押してもらえた

ーー1月ということで、昨年2022年を振り返りつつ、2023年の展望をお話しいただきたいと思います。

 

2022年は、今まで自分が28年生きてきた中で一番「怒涛だったな」という一年でした。やっぱり独立して活動することは、すごく大きな出来事でしたね。

 

ーー決意し、行動に移すのは大変だったのでは?

 

大変なこともありましたが、独立してよかったなと思っています。今回のプレイリストもそうですが、最近、毎日がすごく楽しくて。一生懸命に活動することは変わらないんですけど、以前は目の前のことをやるのに精一杯で…。理想の音楽を創りたいのに、時間をかけて向き合う余裕がなかったり。そうした経験を無駄にしたくないと思い、自分自身で決断できる環境に変えていきたいと思ったんです。

 

ーーいろんな意見が聞こえてきたのではないですか?

 

「もったいない」という人もいましたが、私個人の感覚で言えば、メジャーもインディーズも、両方いいところも大変なところもあると思いました。それに、どっちにいるかというより、大切なのは一緒にやっていく人だなと。本当に信頼できる人たちと、自分のやりたいことを丁寧に進めていけるかどうかが重要だということがわかりました。

 

ーーご自分の“芯”を確認できたと。

 

そんなときに、偶然SNSで「melt bitter」がバズったんです。「背中を押してもらったな」と感じました。「melt bitter」のほかにも、アルバム『Lukewarm』と『GLINTS』は、特に自分が元気な気持ちのときに作ったアルバムで、その頃の曲がTikTokとかでたくさん聴かれたりもしていました。

 

聴いてくれる人の反応だけで判断しているわけではないんですけど、自分が元気で音楽にちゃんと向き合えていたときの曲…まず、自分のことを許せて、誰かのことを考える余裕がある時期に作った曲のほうが「人に届いているな」って漠然と感じたんです。それが「melt bitter」のバズりで確信できた気がします。

 

ーー自分に正直に音楽を創る決断ができたと。

 

はい。あと、マネジメントをお願いすることになった立石さんとの出会いも、すごく大きいです。2020年に立石さんがラジオの放送作家として、私の『ママには内緒ラジオ Neo』というラジオ番組の台本を書いてもらっていた時期があって。その頃から、一緒にご飯を食べに行ったり、いろんな話をしていましたね。

 

 

 

ーー独立を発表した直後のインスタライブでは「メジャーで学んだことも大きい」とおっしゃってましたよね。

 

自分に合うスタイルはどんなものかがわかったというのもそうですし、経験してよかったことはたくさんあります。私はたくさんの人と関わったほうがやりやすいのか、誰かに託して作るほうが向いているのか、いろんなことを把握しながら進めるほうが好きなのか…。実際に経験しないとわからないですし、やらずにいたら「あのとき、やっておけば…」と心残りがあったと思うんです。

 

ーー経験してよかったことは他にありますか?

 

ライブの作り方もすごく勉強になりました。大きなステージでどう演出したらいいのか、プロとしてステージに立つとはどういうことかを学びました。以前は、少しくらいミスをしても“それもライブのうち”と思っていたんです。でも、スタッフの皆さんと丁寧にリハーサルをするうちに考え方が変わりましたね。

 

ーー学びを活かしながら、前に進むことができたのですね。

 

はい。いろんな経験ができたからこそ、レーベルが大きい・小さいはあまり関係ないなと思えたんです。一緒に音楽をしたい人たちがいれば、どこでもいいものを創っていけるという自信みたいなものも芽生えました。いろんなクリエイターやエンジニアさんと知り合えたこともよかったことですね。

 

ーー上京してよかったと?

 

はい。でも、最初はほんとに「まじで引っ越さんけりゃよかった」って思ってました(笑)。

 

ーー笑顔でそう言えるほど、いま元気なのが分かります。

 

(笑)。私にとって大事なことは、自由なんだなって分かったんです。

 

ーーもかさんが思う「自由」とは?

 

我を通したいとかではなく、いろんな意見も聞きたいです。でも、思ったときに思ったことをできるとか、自分の選びたいものを素直に選べることとか、ちゃんと対話できる環境も「自由」なのかなって思いますね。本当に思ってることをお互いが言いあえて、自分が納得したならそれがいいと思うんです。

 

 

 

 

Bialystocks、Louis Cole等「今日は良い1日になる」と思えるプレイリスト

ープレイリストのテーマ「毎日がハッピーになる」を選んだ理由を教えてください。

 

みんながハッピーになるには、まず自分がハッピーになることから始めて、そうするとそれを他人にも分けられるようになるのかなと思っていて。だから、自分自身が気分を上げたいときに聴いたり、ライブの登場SEで使っている曲を選びました。

 

ー1曲目はご自分の「old young」ですね?

 

私の作った曲の中で、この曲が「一番自分らしい曲だ」と思っているんです。作ったとき、自分の生活の中に寄り添った感じで作れた曲だったなと思いますし、前向きな曲なので選びました。

 

ー2曲目はBialystocks(ビアリストックス)「Upon You」。

 

単純に、いまめちゃめちゃハマっていて、こればかり聴いているくらいです(笑)。もともとBialystocksを知っていましたが、1ヶ月ほど前に偶然Spotifyで流れてきて、いろんな音が入っていて楽しいしポップスの中にちょっとだけミュージカルっぽい感じが入っているのも好き。あと、全部のメロディのどの瞬間も良いと感じて、毎日これを聴いてルンルンになっているので選びました(笑)。

 

ークラシカルな雰囲気を感じさせる音楽が多いなと感じました。Frankie Valli(フランキー・ヴァリ)verの「君の瞳に恋してる」を選ばれた理由は?

 

いろんなカバーがありますが、このバージョンが一番よく聴いていて、とにかく元気が出るんです。ロマンチックでいいなって思います。

 

Thelonious Monk(セロニアス・モンク)とはゲキ渋だなと。

 

(笑)。私のご機嫌ソングで、朝起きてこれを聴くと「良い日っぽい!」と感じる曲なので入れてみました。次の「Good Morning」は、映画『雨に唄えば』(※1952年公開。今回選んだ楽曲は2012年に上演されたミュージカル版)の1曲ですが、この映画の曲はどれも好きです。スキップしたくなるような曲が多いですし、この曲は自分のライブの登場SEに使ったりして、楽しい思い出があるので選びました。

 

ー映画をご覧になったことは?

 

はい! 昔の映画や、それに出演するエンターテイナーって素晴らしいですよね。歌もダンスも、レベルが凄すぎます。

 

 

Joan Jett(ジョーン・ジェット)はこれまでの流れと雰囲気が違う選曲ですね。

 

好きだった海外ドラマ『Freaks and Geeks』(邦題:フリークス学園)の主題歌でした。オタクっぽい少年たちと、すごいイケイケなヤンキーみたいな子たちによる学園もので、いろんな事件が起きたり喧嘩しながら仲良くなっていくんです。この曲がかかると「うわ〜、はじまった〜!」ってワクワクした気分になるんです。

 

Louis Cole(ルイス・コール)をここに入れた理由は?

 

これまでレトロな曲が続いたので、最近の曲ですごくテンションが上がる曲はなんだろうと考えました。私的に、テンション上げたいときに聴く曲の一つで、メイクするときとかに聴くんです。朝これを聴きながらメイクをすると早く動けます(笑)。あ、朝のことばっかり言ってますね(笑)。

 

ープレイリスト全体が朝に似合うイメージですね。続いて、ぜったくんもウキウキする感じで。

 

ぜったくんの曲はハッピーなものが多いんですが、この曲は旅行中みたいな気分になれる感じもよくて。あと歌詞もすごく面白いなと思っているので、みんなにシェアしたいと思いました。

 

ーその後は、ご自身の曲「アイスのマンボ」ですね。

 

「ハッピーになるプレイリスト」で、自分の曲を選ぶならどれかなと考えて、最初に思いついたのが「old young」と「アイスのマンボ」でした。曲調もリゾートな感じで、歌詞もすごく前向きでハッピーな感じがすると思ったので選びました。

 

ー以前、ゆいにしおさんもこのBitfan Crossingで公開したプレイリストで、この曲をセレクトしていましたよ。

 

食べ物にまつわるプレイリストですよね? すごく嬉しいなって思いました。

 

ーゆいにしおさんは曲順をあまり気にしていないと言っていましたが、もかさんはいかがでしょうか

 

私は少し気にして並べています。次のQueen(クイーン)は、今の自分に言いたい言葉というか。「行け!」みたいな感じで頑張れる曲です。疲れた帰りの電車でこの曲を聴くと、頑張るぞっていう気持ちになり、元気が出るので選びました。

 

ーこの曲との出会いはいつですか? 

 

父が車に乗るときにかけていた曲の一つで、長い付き合いです(笑)。それと、よくライブのツアーに行くときにバンドメンバーの中にQueenを歌いたがる人がいて、岡山から東京までずっとそれを歌い続ける、みたいな感じでしたね(笑)。

 

ーハイカロリーな思い出ですね(笑)。念のために伺いますが、聴くのにおすすめの時間帯は?

 

朝。1日の始まりに聞いてほしいですね(笑)。

 

ー(笑)。

 

朝、このプレイリストを聴くと「今日は良い1日になるな」と感じていただけると思うので、チェックしてほしいです。

 

 

 

ファンクラブは学校っぽさを味わえる場所にしたい

ー独立後の12月から、ファンクラブ「もか学苑」を設立しましたね。名前にどんな思いを込めたのですか? 

 

最初は「もか部」にしようかと思っていました。というのも、ファンの方たちを見てると、もし同じ学校だったら友達になれそうだなと思っていて(笑)。みんなで部活を作ったら楽しそうだなって思ってそれをマネージャーの立石さんに話したら「学校にしてみたら? もっと大きく行っちゃおう!」と。そのほうがよりいろんな人が集まると思って、学苑にしました。先生になれるのも楽しそうだし(笑)、校歌を作ったりできるなと思ったんです。

 

ー学校や学園ではなく「学苑」にしたのはなぜですか?

 

よく電車などで見る、某予備校の広告のインパクトある世界観からヒントをいただきました。いい意味で、ワンマンでちょっとクレイジーな感じがいいなと思って(笑)。

 

ーファンクラブの拠点をBitfanにしようと思った理由は?

 

一つは、立石さんがBitfanのファンクラブを使っていたからです。Bitfanのファンクラブは、気軽に更新できていてすごく楽しそうでいいな、と思っていました。また、(Bitfanの担当者の)行達也さんという方は、私もミニアルバム『THE WONDERFUL VOYAGE』を作るときにお世話になったことがあって。立石さんも高校生のときから繋がりがあったこともあって、「ここなら楽しくファンクラブを運営できそう」と思ったんです。

 

ーちなみに、SNSとBitfanの使い分けはどうしていますか?

 

今は模索中です。最近思うのは、「もか学苑」に入ってくれている方は、Twitterもやっていることも多いので、広く伝えたい告知はTwitterに。「もか学苑」には、もっとクローズドな「今日これ食べたよ」みたいなこととか、ファンクラブのイベントなど、もっと距離が近い活動を載せていくのかなと思います。ファンクラブを通じて、みんなに直接会う機会を作れたらと。また、ファン同士が交流できる場も作れたら楽しそうだなとも思っています。

 

ーもか学苑では、今後どんなことをやってみたいですか?

 

立石さんが参加していたBitfanのファンクラブを見ていて、いいなと思ったのがグループチャット機能です。ファンの方と話したりできるのはすごく楽しそうだと思って、早速やってみたんですが、すごく楽しいです。あと、ちょうど1月末にファンクラブのイベントも計画しているところなので、それもすごく楽しみです。

 

ーどんなイベントになりそうですか?

 

そうですね、フリマあり、DJあり、トークショーあり、そしてライブもやる…という内容になってます。

 

ー全部乗せですね(笑)。

 

(笑)。「文化祭を開く」みたいなイメージなんです。あと、私と立石さんの私物をフリマに出すのもずっとやりたかったことなので、とても楽しみです。

 

ーファンクラブを運営する上で、長期的なビジョンはありますか。

 

まだ考えきれていない部分もありますが、一つ一つのコンテンツをもっと充実させていきたいです。いろいろ事情があって、5月にならないと放送部(ラジオ・ポッドキャスト)とかができてなくて。5月以降は、ファンクラブだけの動画や曲を作ったりもしたいです。あと、季節ごとに…年初なら書き初めコンテストとか、そういう催しも定期的にやりたいですね。学校には宿題がつきものなので(笑)、いろんな宿題も出していきたいです。

 

ーどんな宿題が出されるのか、どきどきしますね(笑)。

 

期待していてください(笑)。そんなふうに、徐々に本当の学校みたいにしていきたいです。大人になると、みんなとわいわいしたり、一緒に学ぶ機会って少ないと思うんです。だからこそ、学校っぽさを味わえる場所にしたいし、そこがファンクラブだったらみんなも楽しいんじゃないかなと思うんです。

 

2022年にワンマンをやった東京キネマ倶楽部の雰囲気が好きなので、いつかそこでファンクラブイベントをやるのが夢ですね。

 

 

ーでは最後に、2023年の抱負を教えてください。

 

2022年後半は本当にいろいろリセットされた感じだったので、2023年は再出発の1年にしたいですね。今までお世話になった人たちにも、一つずつ恩返ししたい。落ち込んでいたとき、いろんな人に助けていただいたので、一人一人に向き合いたいんです。そうした想いも込めて、このプレイリストを選んでいます。まず自分がハッピーになって、それを返していける1年にしたいです。

 

ー新曲も期待してよいでしょうか?

 

実は、今年の春にドラマの主題歌をやらせていただくことが決まりました。まだ詳細はお伝えできないんですが、撮影現場に行ったり、作家さんや演者さん、スタッフさんとお話ししたことで、曲が降ってきた感じで。その日は、ロケ現場からそのまま福岡に移動する予定だったのですが、福岡に向かう飛行機の中で一気に書きあがりました。

 

ー出会いが音楽を引き出してくれたのですね。

 

はい。台本をいただいて、読みながらイメージを膨らませていったんですが、現場を見てイメージが急に湧きました。この曲がおそらく2月に発表になって、3月前後に配信されると思います。さらに新曲をもう1曲準備しているので、どういった形でリリースするかも含めて楽しみにしていてください!

 

 

 

(文: Yuko Kitsukawa  写:Hide Watanabe  編:Miku Jimbo)

 

 

もか学苑 | さとうもか オフィシャルファンクラブ – Bitfan

 

 

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